銅管や鋼管を使用した温水暖房は、循環液のpH値を定期的に確認してください

温水暖房の仕組み自体は昔から変わりませんが、機器や配管の耐久性や性能は日々進化しています。そのなかでも大きいのは配管の樹脂化、いわゆる架橋ポリエチレン管の普及です。今でも施工会社によっては銅管や鋼管を使用されていますが、その場合は循環回路の腐食反応を知るために循環液のpH値を定期的に確認して防食システムを維持しなければなりません。

※2019年3月25日に公開した記事ですが、修正して2020年10月26日に再度公開しました。

循環液のpHが7.0以上であることを確認しよう

循環回路の大部分が樹脂化した今、メンテナンスフリーになったといっても過言ではない温水暖房システム。しかし、それは循環回路の配管材料を樹脂化していればこそ。銅管や亜鉛メッキ鋼管を使用している場合は、耐食性がpHに依存するため、pHが低くなるとともに保護被膜を形成しにくくなります。したがって、暖房シーズン前には用具を用いて循環液のpHが少なくとも7.0以上であることを確認しなければなりません。

現場でpHを確認する時に使う循環液管理用品

腐食要因としてはpH以外にも硬度、溶存酸素濃度、塩化物及び硫酸イオン、溶性ケイ酸、流速、そして循環温度が挙げられます。不具合がない現場であれば、僅かな循環液を採取して行えるpHとグリコール濃度の確認を実施してください。万が一、不具合があれば精密分析をご依頼ください。防食システムの維持に必要な処方箋が示されます。

「PPビーカー」ならサンプリング液を目視できる

「PPビーカー」はすべて1個から当日出荷です。

循環液は、劣化が進むと目で見て明らかな不純物が生成されることがあります。「PPビーカー」に、回路の注排水口から循環液をサンプリングしてください。目視して異物が見受けられたり、黒っぽい色に変色しているようであれば、銅や亜鉛に腐食反応が現れ防食剤を消化していると仮説が立てられます。また、循環液に混入している異物をそのままにしていると、熱交換器や循環ポンプの故障の原因にもなりかねません。

品番 容量 目盛 高さ 直径 基準価格
PPB-100 100mⅼ 10 71mm 57 ¥90
PPB-200 200mⅼ 20 91mm 67 ¥110
PPB-300 300mⅼ 25 108mm 76 ¥130
PPB-500 500mⅼ 50 121mm 90 ¥160
PPB-1000 1000mⅼ 50 151mm 109 ¥300

「PH試験紙(品番:SK-PHS)」を用いて弱アルカリ性であることを確認する

「PH試験紙(品番:SK-PHS)」は1巻から当日出荷です。

新品の循環液は弱アルカリ性です。特に銅管や亜鉛メッキ鋼管では、腐食がpHの影響を強く受けるため、7.0~8.0に収まっていることが望まれます。ちなみに、同じ金属配管でもステンレス配管の耐食性はpHの影響は僅かです。

使い方はとてもカンタンで、「PPビーカー」に採取した循環液に「PH試験紙(品番:SK-PHS)」を濡れる程度つけます。交換基準のpH値は、各循環液により若干異なりますが、目安としてはプロピレングリコール系ではpH7.0、エチレングリコール系ではpH8.0を下回った時点で交換します。

品番 長さ 基準価格
SK-PHS 7mm 5m ¥1,550

「ブラインテスター」で凍結温度を調べる

「ブラインテスター(品番:BR-T3)」は1個から当日出荷です。

ブラインテスター表示

「ブラインテスター(品番:BR-T3)」は、たった1滴のサンプリングで循環液の濃度や凍結温度を調べることができる分析器です。本来は原液を希釈する際に使用しますが、既設循環回路内の循環液であっても正確に調査ができるのでとても便利です。ただし循環液のブランドによって異なりますので、物件数の多い施工業者様であれば、循環液は統一することをオススメします。

ベストパーツOnlineで当日出荷している「ブラインテスター(品番:BR-T3)」は、目盛が3本あります。最も使われる目盛は向かって右側の「SB-PP」の軸で、「エスケーブラインPG」「ショウブラインPPスーパー(品番:SB-PPS18K)」を測定することができます。真ん中の「SB-Blue」の軸は、「エスケーブラインPE(品番:SKE2-20K)」「ショウブラインブルー(品番:SB-B20K)」「ショウブラインPEスーパー(品番:SB-PES20K)」を測定できます。左側「SB-PFP」の軸は、「ショウブラインPFP(品番:SB-PFP18K)」を使用する場合にお使いください。

回路内にカビが発生している状況でなければ、凍結温度の値を見るだけで良いでしょう。注入当初の設計凍結温度を下回っている場合は、循環液の追加または交換をします。

品番 寸法・重量 基準価格
BR-T3 3.2×3.4×16.8cm・90g ¥24,900

まとめ

温水暖房システムに銅管や亜鉛メッキ鋼管を使用している場合、循環液のpHが少なくとも7.0以上でなければ腐食します。腐食反応は、流速や温度で加速するため、暖房シーズンの前に循環液のpH分析を実施してください。現場で分析する用具としてオススメしているのは、「PPビーカー」「PH試験紙(品番:SK-PHS)」、そして「ブラインテスター(品番:BR-T3)」です。

なお、不具合がある現場では、精密分析をご依頼ください。防食システムの維持に必要な処方箋が示されます。

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