
冷媒管の被覆表面結露を【断熱粘着テープ】で解消できる?
※本稿は2020年5月11日に公開しましたが、校正編集し2023年5月22日に再公開しました。
配管をやり直せない場合に使いたい【断熱粘着テープ】
冷媒用被覆銅管に表面結露が現れたら、設置環境の露点に対して保温材の能力が不足しています。配管をやり直せない現場がほとんどだと思います。そんな時に、断熱粘着テープを使うのも手。まだ使ったことが無い方には、ぜひお試しいただきたい部材です。
なぜ保温材の表面が結露するの?
保温材の能力不足が原因
しかし、なぜ保温材の表面が結露するのでしょうか?冷媒用被覆銅管は冷房運転時に低温の冷媒が流れるため、配管表面の温度が低下します。一般的に冷媒管は厚さ8mmのポリエチレンフォーム等の保温材で被覆されていますが、高温多湿の環境下では保温材表面の温度も露点以下となってしまい表面結露が発生するのです。
冷媒用被覆銅管の露点グラフを確認しよう
下図は因幡電工の冷媒用被覆銅管φ6.35~φ12.7の防露性能グラフです。例えば、液側がφ6.35x保温材厚8㎜の被覆銅管「ネオコイル(20m)(品番:NC-220-S)」を用いた場合、相対湿度65%・管外温度30℃・管内温度0℃の環境下では結露しますが、液側がφ6.35x保温材厚20mm「ネオコイルKHE(20m)(品番:NC-220-KHE)」であれば結露しないことが見て取れます。

図:防露性能グラフ
保温材を厚くすれば解決する
表面結露している冷媒管の保温材厚みが8mmであれば、20mm厚の冷媒管に取替えれば解決するかもしれません。しかし、実際には冷媒管を取替えるというのは非常に困難です。その場合、できるだけ長い範囲に断熱粘着テープを増し巻きしましょう。その際、強く巻き付けると断熱材に含まれる空気が減少して熱伝導率が上がってしまうので、断熱材がつぶれない程度の強さで巻いていきます。
断熱粘着テープ
ここでご紹介する断熱粘着テープの断熱部は冷媒管の保温材と同様に30倍発泡ポリエチレンフォームからできている軽量・断熱・緩衝性に優れたテープです。
因幡電工:断熱粘着テープ
品番 | 厚み | 幅 | 長さ | 基準価格 |
DHV-5010 | 3mm | 50mm | 10m | ¥1,100 |
DHV-7510 | 75mm | ¥1,640 | ||
DHV-10010 | 100mm | ¥2,810 |
東レぺフ加工:断熱粘着テープ
品番 | 厚み | 幅 | 長さ | 基準価格 |
PND-50W | 3mm | 50mm | 10m | ¥1,040 |
PND-75W | 75mm | ¥1,510 | ||
PND-100W | 100mm | ¥1,890 |
まとめ
近年の高温多湿傾向で、今まで問題なかった現場でも表面結露の不具合が発生した事例が見受けられます。また、隠ぺい部で発生しやすいため発見が遅れがちになり、多額の処理費用が発生する事態に陥る恐れもあります。無駄な経費を出さないよう、冷媒管設置環境の最悪条件を想定して適切な保温材厚みを選定しましょう。万が一、冷媒管表面に結露が発生した場合は、断熱粘着テープをご利用ください。

室橋尚哉

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