
用途と管種と呼び径から選ぶ!塩ビ管用接着剤の選定ポイント
選定のポイントは「用途」「管種」「呼び径」の3つ
塩ビ管用接着剤を選定する際に必要な情報は、用途と管種、そして使用する塩ビ管の呼び径の3つです。それぞれの条件が合致しないと、施工不良や漏水クレームにつながる恐れがありますので、必ずこの3つのポイントを確認してから選定するようにしてください。
用途は「水道(給水)」「給湯」「一般」の3つに分けられる

※HTDV用のみ接着剤の色がグリーンとなります。
選定ポイントの一つである「用途」は、水道(給水)用(VPおよびHI)、給湯用(HT)、排水や換気などの一般用(VU)の3つに分けられます。水道用もしくは一般用では、多くの場合共通の塩ビ管用接着剤が使用できますが、給湯用もしくは高温排水用(HTDV)になると、その流体温度に対応した接着剤を選定する必要があります。用途に合わない接着剤で施工すると接合不良でトラブルに発展する恐れもあるため、必ず用途に合った接着剤を選定しましょう。
塩ビ管用接着剤は用途に応じて成分と配合の割合に違いがある
では、それぞれの塩ビ管用接着剤の違いを確認していきましょう。粘度150mPa・sの「タフダイン青」では、低粘度速乾性を高めるために、揮発性の高いアセトンが10~25%配合されています。一方で、粘度500mPa・sの「タフダインHI」「タフダインHT」「No.100Sグリーン」にはアセトンが殆ど含まれていません。また、耐熱仕様の「タフダインHT」「No.100Sグリーン」は、耐熱塩化ビニル樹脂もしくは塩素化ポリ塩化ビニル樹脂を配合することで~80℃までの高温に対応させています。これらのことからも用途に合った接着剤を選ぶ必要があることがわかります。
塩ビ管用接着剤は「低粘度速乾性」が基本
塩ビ管用接着剤は前提として「速乾性」であることが定められており、粘度によって2種類に区分され、「A」「B」の記号を用いて表示する決まりがあります。なお、低粘度の定義は「100~800mPa・s」と品質規定で定められています。
種類 | 記号 |
低粘度 | A |
高粘度 | B |
管種は「VP/VUなど」「HI」「HT」の3つに大別できる
塩ビ管は「硬質ポリ塩化ビニル管(VP・VU)」、「耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HI)」「耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(HT)」に分けられます。どの管種を使用するかで適した接着剤も変わりますので、使用する塩ビ管の種類を正確に把握することが大事な要素の1つといえます。
★詳しくは過去の記事でも解説しています(参考:「安いだけじゃない!『塩ビ管』を種類と用途で正しく使い分けよう」)。
用途・管種別の塩ビ管用接着剤4選
塩ビ管(TS・DV)用「タフダイン青」
商品コード | 容量(g) |
TDB-500 | 500 |
最もスタンダードな塩ビ管用接着剤です。特色は粘度150mPa・sと非常にサラサラですので、呼び~150までの塩ビ管を素早く接合することができます。一般的なグレー色の塩ビ管にはこちらをご使用ください。キャップのグリップは滑り止め加工済みで、グラつきを防止するキャップ一体成型のハケも付属します。
耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)用「タフダインHI」
品番 | 容量(g) |
TDHI-500 | 500 |
埋設等で使用する耐衝撃性のHI管を使用する場合は、「タフダインHI」を選定してください。用途は給水配管がほとんどかと思いますが、HI管にタフダイン青など一般的な硬質塩化ビニル管用の接着剤は使用できません。ただし、一方でVP/VU管に対しては使用でき、管のサイズも問わないことから、給水用途では最も汎用性が高い接着剤といえます。
耐熱性ポリ塩化ビニル管(HTVP・HTDV)用「タフダインHTタイネツ」
品番 | 容量(g) |
HT250G | 250 |
HT500G | 500 |
給湯配管と高温排水どちらにも対応しているのが「タフダインHT」です。耐熱性に優れ、HT管やHTVU管の接合にこれ1つで対応できるのが大きなメリットです。容量の少ない250g品は、使用頻度が低く500gは使い切れないという場合に重宝します。
耐熱性ポリ塩化ビニル管(HTDV)専用「No.100Sグリーン」
品番 | 容量(g) |
S1H5GG | 500 |
HTDV継手およびHTDV透明継手用に開発されたのが「No.100Sグリーン」です。HTDV透明継手に一般的なHT管用接着剤を使用した場合、接着剤の色も透明なので施工がしにくいという問題が起こりますが、こちらは接着剤自体が緑色に着色されているため、外側から正しく接合されているかの目視確認が簡単に行えます。ただし、こちらは排水用となるため、給湯管に使用する場合は「タフダインHT」を選定するようにしてください。
まとめ
給水給湯配管をはじめとして、排水・換気・農水など幅広く使われている塩ビ管こと硬質ポリ塩化ビニル管。接合には「塩ビ管用接着剤」を使用することは周知の事実ですが、ご使用の際は「用途」「管種」「呼び径」をご確認の上お選び下さい。なお、ビニル系接着剤は消防法における第4類(引火性液体)第一石油類危険等級Ⅱに該当しますので、火気を避け40℃以下の場所での保管が必要です。揮発性もありますので、夏場の保管には十分ご注意ください。
本記事は、 2023年7月7日に公開されましたが、内容を校正し2025年6月17日に再公開しました。

鈴木 彩香

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