エコキュートのヒートポンプ配管選び方ガイド!銅管・樹脂管・フッ素ホースを徹底比較

発売後10年を経て買換え需要期を迎えたエコキュート。最近、「隠蔽配管でも安心して使えるヒートポンプ配管」のニーズが高まっています。本稿では、今までエコキュートのヒートポンプ配管工事をされていない施工業者様に向けて、銅管架橋ポリエチレンパイプアルミ三層パイプ、そして最近人気のフッ素系樹脂ホースを「施工者のメリット」に主眼を置きつつ、ご紹介いたします。

ヒートポンプ配管を管種別に比較

給湯・給水分野で実績のある管種でも、ヒートポンプ配管として要求される性能を満足させるものは限られています。ヒートポンプ配管に求められる性能を改めて確認し、管種別に比較しました。

エコキュートに要求される5つの性能

95℃の高温が使用できる耐熱性

CO2ヒートポンプを使用するエコキュートヒートポンプ配管ではエネルギー効率が一番高いとされる沸上温度90~95℃に耐えられることが必要です。一般的な給湯分野では高温が出ても80℃が使用温度の上限のため、85℃~90℃耐熱の配管材を使用すれば問題は起きませんが、95℃という温度域では使用できる配管材は限られます。

紫外線の影響が少ない耐候性

エコキュートは基本的には屋外に設置されるためヒートポンプ配管も紫外線に常にさらされています。紫外線に強い素材もしくは高耐候性の被覆が施されている必要があります。

簡易な施工性

必須条件ではありませんが、簡易に越したことはありません。例えばヒートポンプ配管は、狭い場所に多くの配管が集中するため、柔軟性が求められます。又、曲げた形状を保持できればエルボ等の継手が不要になり、さらに継手がワンタッチ式であれば施工が楽になります。

コスト競争力

コストも重要な観点です。本稿では、1台のエコキュートの取り付けに必要な「パイプ(10mm保温材):3m往き戻り」と「袋ナット継手:4個」を1セットとして比較してみます。

製品保証の有無

製品に由来する事故があった場合、保証がついていれば安心です。特に長期間使用するエコキュートのヒートポンプ配管には必要な観点です。

5つの性能をクリアしたパイプを比較

ヒートポンプ配管として要求される性能をクリアしたパイプをベストパーツOnlineからピックアップして管種別に比較してみます。

コスト競争力が高い「銅管」

「銅ペアチューブ(10㎜保温材付) (品番:SK-4430H)」

銅管は紀元前から使用されてきた、非常に歴史のある優れたパイプです。日本でも給湯分野はもちろん、より圧力の高い空調分野などでも使用されています。エコキュートに使用できるのは往き戻りが独立した(ペアになっていない)10㎜厚以上の保温材が付いているものです。ロウ付継手が安いことも魅力ですが、施工性を考えると「エコタッチ」をオススメします。配管長が長くなると取り回しが難しくなるので、集合住宅や隠ぺい配管には適していません。

  • 95℃耐熱性 有
  • 耐候性   パイプ=有、保温材=無
  • 施工性   チューブカッタベンダーなど専用工具が必要だが仕上がりはキレイ

戸建にも集合にも使用されている「架橋ポリエチレン管HCタイプ」

三菱ケミカルインフラテック社  「架橋ポリエチレン管(高耐候性被覆)(品番:HC-10HON10-T)」

架橋ポリエチレンパイプは、給水給湯や温水暖房で広く使われています。しかし、エコキュートのヒートポンプ配管には、三菱ケミカルインフラテック社HCタイプでなければ耐熱性を満足することはできません。HCタイプはパイプ内を蒸気洗浄しているのでユーザークレームにつながりやすい臭いの問題もありません。戸建、集合に関わらず多数の実績があり安心してご利用いただけます。

  • 95℃耐熱性 有
  • 耐候性   パイプ=無、保温材=有
  • 施工性   継手はワンタッチだが、小さく曲げるにはエルボソケットが必要

銅管と樹脂管の性能を合わせ持つ「アルミ三層管」

「アルミ三層管(高耐侯性被覆)(品番:UPC10-HONT10)」は戸建住宅に最適です!

海外では最もメジャーな配管で、給水給湯、暖房配管のみならずガス配管などにも使用されています。しかし、使用温度が高いエコキュートのヒートポンプ配管として、一部ではあるものの機器メーカーから推奨を得ているのは、タブチ社の「アルミ三層管(高耐侯性被覆)(品番:UPC10-HONT10)」だけです。

内面と外面の樹脂の間にアルミ層がサンドイッチされており、曲げたままの形状を保持できる「銅管と樹脂管の性能」を合わせ持ったパイプです。パイプ外層に耐候性はありませんが、アルミ層で紫外線が遮断されるので紫外線による内面樹脂層の劣化はありません。

  • 95℃耐熱性 有
  • 耐候性   パイプ=有(アルミ層で遮断)、保温材=有
  • 施工性   継手はワンタッチだが、パイプカット時の面取り作業は必須。

10年の製品保証付き「フッ素系樹脂ホース」

ブリヂストン社 「 エコるーぷ(品番: EL10AH10-20)」

ブリヂストン社の「エコるーぷ」は耐熱性に優れ、紫外線にも強く、耐久性も高く、ダントツに柔らかく施工性に優れます。集合住宅のようにヒートポンプ配管が長い現場にお使いいただければ、取り回しの良さやCD管への抜き差しに力が要らないことを実感していただけます。従来の給水給湯配管材料とは異なる次元の性能を有するためコストも当然高くなりますが、なんと10年のメーカー保証が付いてくるので、最も安心して使用できるパイプだといえます。

  • 95℃耐熱性 有
  • 耐候性   パイプ=有、保温材=有
  • 施工性   曲げ半径はR50と圧倒的に柔らかく、継手は締め込み式だが、トルク管理は不要で、パイプの面取り作業も不要。

管種別比較表

管種 銅管 架橋ポリエチレン管 アルミ三層管 フッ素樹脂ホース
比較パイプ品番 SK-4430H HC-10HON10-T UPC10-HONT10 EL10AH10-20
耐熱温度95℃
耐候性 パイプ ×
耐候性 保温材 ×
施工特徴 専用工具が必要 美観に優れる ワンタッチ継手・小さな曲げには継手が必要 ワンタッチ継手・形状保持できる 締め込み式継手・柔軟
製品保証 有(10年)

まとめ

本記事ではヒートポンプ配管の選定をご紹介しました。集合か戸建かに関わらず、施工性と耐熱性に優れコストも納得できる三菱ケミカルインフラテック社の「架橋ポリエチレンパイプ(品番:HC-10HON10-T)」をご利用ください。ただし、配管が見える戸建住宅の場合は、施工性が高いうえに水平垂直のラインを出した美しい配管ができるタブチ社「アルミ三層管(高耐侯性被覆)(品番:UPC10-HONT10)」をオススメします。そして長期的に施工責任が求められる現場には、10年保証が付与されるブリヂストン社の「フッ素樹脂系ホース(品番:EL10AH20-20)」をお使いいただければ安心していられます。

※本記事は2019年10月1日に公開しましたが、修正を加えて2025年7月24日に再度公開しました。

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