
CO中毒事故はなぜ起きる?給排気部材を見直して命を守る施工を
給排気筒の抜けや腐食が招くCO中毒事故
一酸化炭素(CO)中毒は、無色無臭のガスが原因で気づきにくく、命にかかわる重大な事故につながることがあります。特に、ガス給湯器や湯沸器といった燃焼機器の給排気筒の不具合が原因となるケースがあるため、一酸化炭素中毒から命を守るために給排気筒の仕様を見直しましょう。
※安全に燃焼機器を稼働させるための施工は、特監法「特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律」の概要に基づいて行ってください。
排気筒の接続部が外れた事例
洗面所に設置されたFE式給湯器の排気筒が、天井裏を通って屋外まで配管されており、浴室の天井裏で排気筒が外れてしまい、CO中毒事故が発生しました。
配管の横引きが長い現場では、排気筒の自重で接続部がたわみ、外れてしまうことがあります。排気漏れの確率が高まります。
事故現場見取り図
使用材料が不適合だった事例
FE式湯沸器の排気筒の途中から、亜鉛引き鋼板製のスパイラル管が使われていたために、腐食して排気ガスが漏れてしまった事例です。
スパイラル管は腐食性が高いため、給排気筒としての使用は認められていません。同様の事故には、アルミダクトを使用した事例も見受けられますが、アルミダクトや鉄ダクト、樹脂ダクトなども不適合です。「排気筒の材料は、SUS304またはこれ以上のものを使用すること」が、法律(特監法)「特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律」で定められています。
事故現場見取り図
CO事故を未然に防ぐための給排気部材
特定ガス消費機器の施工は、法律に基づいた正しい方法で行うことが不可欠です。排気筒の接続部は、「リベット、またはタッピングねじで固定し耐熱性のシーリング材で排気がもれないようシールする」ことが義務付けられています。さらに、隠ぺい部の接続には「ロック機構付きの排気筒」が推奨されておりますが、年々住宅の気密性能が高まる今、より安全性を高めるために、ロック機構付の「SKPシリーズ」、「SEPシリーズ」の排気筒をオススメしています。
ロック機構付き給排気筒「SKPシリーズ」「SEPシリーズ」
φ60 SKP シリーズ
品 番 | 有効長 |
SKP66 | 600 |
SKP69 | 900 |
SKP612 | 1200 |
φ80SEP直管
品 番 | 有効長 |
SEP86 | 600 |
SEP89 | 900 |
SEP812 | 1200 |
ALGCロックウール
隠ぺい部の排気筒には、厚さ20mm以上のロックウール等の金属以外の不燃材料で断熱措置を講じることが定められています。「ALGCロックウール」は、両面テープで仮止めできるため、施工が簡単です。
品 番 | 内 径 | 肉 厚 | 適合排気筒 |
ALGC5020 | 61 | 20 | φ60 |
ALGC8020 | 89 | φ80 | |
ALGC1025B | 105 | 25 | φ100 |
ALGC1025 | 114 | φ110 | |
ALGC1225B | 130 | φ120 | |
ALGC1525 | 165 | φ150 |
吊金具
排気筒接続部にたわみが発生しないよう、定められたピッチで支持金具を取り付けてください。「吊金具」は、脚がスライド式で下り勾配の調整もカンタンに行えます。
※注意・・・FE式の横引配管は屋外に向かって先下がり勾配とし、原則として1.5m~2mごとに1箇所の割合でたるみが生じないよう堅固に固定してください。
品 番 | パイプ径 | スライド幅 |
GH60K | φ60 | 130~200 |
GH80K | φ80 | |
GH100K | φ100 |
施工後の確認と記録に便利な工業用内視鏡
既存の排気筒を再利用する場合、その健全性を確認することが非常に重要です。特に、溶接部の劣化は目視だけでは見落としがちです。そこで活躍するのが工業用内視鏡です。
「検査用内視鏡カメラ:PD-WC130」を使用することで、配管の内部を詳細に確認でき、静止画や動画で記録を残すことも可能です。お客様に画面を共有することで、より信頼性の高い施工を提供できます。
品 番 | 仕 様 |
PDI-WC130 |
レンズ直径φ5.5×ケーブル長5m、USB充電式 |
まとめ
CO中毒事故は、給排気筒の不備によって引き起こされることが多く、施工の安全性が何よりも重要です。特監法「特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律」に基づいた施工はもちろんのこと、ロック機構付き給排気筒や、工業用内視鏡といった最新の部材やツールを活用することで、事故のリスクを大幅に減らすことができます。
特に、ロック機構付きの給排気筒FF式のみならずFE式であっても差し込むだけで抜けと漏れを防止できるロック機構付きの給排気筒「SKPシリーズ」、「SEPシリーズ」を利用することで、より確実な安全性を確保できます。
安全な施工は、お客様の命を守るだけでなく、施工業者自身の信頼にもつながります。正しい知識と適切な部材で、CO中毒事故ゼロを目指しましょう。
※この記事は2022年1月20日に初回公開された記事ですが、校正し直し、2025年9月12日に再公開いたしました。

佐々木瞭

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