ガス機器の事故を未然に防ぐ給排気筒の選び方

「実際に起こってしまったCO中毒事故事例」(https://www.lpgpro.go.jp/guest/text1/pdf/H27_2015/file_2015_07.pdf)

はご覧になりましたか?経済産業省からインターネットで発信されている情報ですが、改めて皆さんに確認していただきたい興味深い内容です。この記事は「実際に起こってしまったCO中毒事故事例」を基にガス機器のCO中毒事故を未然に防ぐ給排気筒をご紹介します。

FE式給湯器の排気筒はずれの事例

洗面所に設置されたFE式給湯器の排気筒が浴室から居間の天井を通りベランダ側まで横引き配管されていたが、浴室の天井配管が外れてしまいCO中毒事故が発生しました。

事故原因

直管接続部の抜け防止処理が不足していたため、排気筒が外れてしまいました。

事故現場見取り図

 

事故を未然に防ぐ部材

排気筒の接続部は「リベット、またはタッピングねじで固定し耐熱性のシーリング材で排気がもれないようシールする」様定められております。更に、隠ぺい部の接続には「ロック機構付きの排気筒」が推奨されておりますので、SKPシリーズの排気筒をオススメします。

ロック機構付のSKPシリーズは全給湯器メーカーと共通規格のうえラインナップが豊富です

隠ぺい部の排気筒には、厚さ2㎝以上のロックウール等の金属以外の不燃材料で断熱措置を講ずることになっておりますので、ALGCロックウールALGC5020も併せてご使用いただくこともお忘れなく。

また、排気筒接続部にたわみが発生しないよう、支持金具を定められたピッチで取り付けてください。支持金具は、脚がスライド式で下り勾配もカンタンにとれる便利なGH60Kを推奨いたします。

※注意・・・FE式の場合の横引配管は屋外に向かって先下がり勾配とし、原則として1.5m~2mごとに1箇所の割合でたるみが生じないよう堅固に固定する。

 

FF式給湯器の給排気トップ閉鎖による事故事例

FF式給湯暖房機の燃焼排ガスが居間・浴室等に漏れたため、CO中毒により2家族7名が死亡。なお、隣の部屋の住人も事故発生2日前に、気分が悪いとのことで病院に運ばれていました。

事故原因

20年近くも使用していて給排気部の老朽化により、給排気トップの金網が破れ、排気筒も腐食等により穴が開いていたが、機器取替時に給排気部の健全性を確認せず再使用しました。そのため、給排気トップから鳥が入って巣を作り、排気の排出が阻害されて不完全燃焼した排気が室内に充満し、事故に至りました。

事故現場見取り図

事故を未然に防ぐ為には

給排気トップと機器は一体のものですから、当該ガス機器用以外の給排気トップを使用したり、その形状や構造を変更したりすることはできません。よって、原則として機器を取り替えた場合は、給排気トップも交換するのが基本となっております。しかしながら、同一機種への交換で、同じ仕様の給排気トップであれば、目視等で腐食、変形等がないことが確認できれば再使用可能と認められています。なお、再使用する際は給排気トップ並びに排気筒の健全性を確認してください。

FF式2本管用給排気トップ

健全性をチェックするポイントは溶接部。外見の目視では分からない場合もありますので、デジタルスコープを使用するとお施主様と画面を共有したり記録を残したりする事ができます。

静止画、音声付動画撮影機能付き工業用内視鏡です。配管や天井の検査、点検にお使い下さい。

 FE式給湯器の排気トップが風圧帯内に設置

ビルの2階にある調理室に取り付けてあった既存排気筒に新たにFE式ガス給湯器を取付したが、既存排気筒壁面貫通部より出火して事故となりました

事故原因

再使用した既存排気筒の先端にトップが取付けられておらず、事実上のトップとなる排気筒先端が風圧帯内にあたるため燃焼した排気ガスが外壁内部に滞留し、壁面貫通部のベニヤ板が加熱され出火に至りました。また、給湯器の排気筒取付口と既存排気筒には3㎝程の隙間が出来ておりアルミ粘着テープで塞がれていて施工基準を満たしてないことも見つかりました。

事故現場見取り図

事故を未然に防ぐための部材

この現場は「排気トップが取付されていなかったこと」「隠ぺい部分の断熱措置で金属以外の不燃材料において措置されていなかったこと」の2点が火災の直接要因ですので、隠ぺい部分の断熱材としてロックウールALGC5020を取付、排気トップにΦ60エルボトップセットSKP60Sをご使用いただかなければなりません。

 

SKP60Sは抜け防止機能付きの60Φ排気トップです

ALGC5020は、Φ60給排気筒用で20㎜厚のALGCロックウールです。

 

FE式給湯器の排気筒使用材料不適合の事例

脱衣室に設置されたFE式瞬間湯沸器の天井内排気筒が腐食し、燃焼排ガスが室内に充満し2人がCO中毒となりました。

事故原因

湯沸器からエルボまではステンレス製でしたが、天井内の横引配管部分が亜鉛引き鋼板製のスパイラル管であったため、そこから腐食して室内に排気ガスが充満した事が事故原因です。

事故現場見取り図

 

事故を未然に防ぐ部材

スパイラル管は腐食性が高いため、給排気筒として使用してはいけません。同様の事故には、アルミダクトを使用した事例も見受けられますが、アルミダクトはもちろん、鉄ダクトや樹脂ダクトも絶対使用してはいけません。

シール処理と抜け防止処理が要らないSKPシリーズは全給湯器メーカーと規格統一されています。

「排気筒の材料は、SUS304またはこれ以上のものを使用すること」と特監法(特定ガス消費機器の設置工事の監督による法律)の施工方法の概要に定められております。更に、「リベット、またはタッピングねじで固定し耐熱性のシーリング材で排気がもれないようシールする」必要があるため、今回の現場のような接続箇所が多く、横引きが長い現場の場合は、施工時間短縮と施工品質の向上に有効な抜け防止機能付の「SKPシリーズ」をオススメします。少し余裕が出た施工時間を、勾配を取る時間にあてられるといいですね。

まとめ

特定ガス消費機器の施工は、特監法(特定ガス消費機器の設置工事の監督による法律)に基づき実施してください。

FE式排気筒接続方法は「リベット、またはタッピングねじで固定し耐熱性のシーリング材で排気がもれないようシールする」と記述されておりますが、FF式のみならずFE式であっても差し込むだけで確実なシールと抜け防止が担保できるロック機構付の給排気筒SKPシリーズを利用することで確実に事故を回避したいものです。

また、ロック機構付の給排気筒を使用しない場合にご注意いただきたいのは、アルミ粘着テープは熱によりはがれてくる恐れがあり抜け防止措置にはならないので、必ずリベット、またはタッピングねじで固定し耐熱性のシーリング材で排気がもれないようシールすることです。

最後に既存の排気筒を再利用せざるを得ない場合、デジタルスコープで内部を確認して記録を残すことも忘れずに実施してください。

※この記事は5月29日と6月11日の記事に加筆したものです。

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