ハウスメーカーやマンションデベロッパー物件の設備リノベーションを請け負うなら、緑色の給水給湯用パイプ「エルメックス®」を避けて通ることはできません。そこで本稿では、プレハブ工法の多くに使われているエルメックスパイプ（E種）を架橋ポリエチレンパイプ（M種）に変換するための継手をご紹介します。

現場が変わる！E種→M種へのワンタッチ変換継手

エルメックスパイプは、工場で継手とパイプをEF（電気融着）で一体化させ現場に搬入するプレハブ工法が大多数を占めます。パイプと継手が完全一体化するため漏水のリスクが極めて低い反面、経年による給湯器交換などで既設配管がエルメックスパイプだった場合、一般的な継手が使えず困った方も多いのではないでしょうか？意外と知られていないのが「融着不要のワンタッチタイプ」の継手が存在する事。これを知っていれば現場で緑色の樹脂管に当たっても怖くありません！

そもそもエルメックスパイプって？

JISでは単層の架橋ポリエチレンパイプをM種、2層構造の架橋ポリエチレンパイプをE種に分類しており、エルメックスパイプはE種にあたります。どちらも耐久性、耐食性、耐電食性、耐薬品性に優れ、赤水・青水の発生がなく、安全で衛生的な水を供給できるものです。エルメックスパイプは先述の通り専用のコントローラ（電気融着機）を使用してパイプ外層と継手内層のポリエチレンに熱を加えて溶解し、一体化接合するため漏水リスクが極めて低く、主に集合住宅に多く使用されていますが、現在主流となっているM種とは接続方法も内径・肉厚も異なるため、給湯器交換作業などで配管を一部交換する際には工夫が必要です。

管種	種類	呼び	外径	内径	肉厚
M種（単層）	PN15	13A	17.0	12.8	2.1
E種（2層）	PN15	13A	17.0	12.2	2.4

手軽なワンタッチ継手を管種変換の切り札に

エルメックスパイプを接続するための融着継手の用意も、融着工具の用意もない……。そんな万一の際に備えて、知っておきたいのがワンタッチ継手の存在。専用工具不要でネジに変換できるので、途中で管を切断しても問題なく対応できます！

ねじに変換して管種を変える三井化学のワンタッチ継手

既存配管がエルメックスパイプだった場合は、三井化学産資社の内面止水タイプの「エルメックス®用ワンタッチ継手」がオススメです。接続方法は、継手本体にパイプを差し込むだけ。同じく融着せず接続できる外面止水タイプのモデル「WEシリーズ」で必要だったインコアの挿入なども要らず、配管切断面のかんな掛けも不要の施工のしやすさが魅力です。なお、10A用のオスアダプターは外面止水タイプ（商品コード：WEOS-10R1）のみになります。

オスアダプターのラインナップ

商品コード	止水方法	呼び径(ねじ)	呼び径(樹脂管)
WEOS-10R1  ※	外面止水	R1/2	10A
CEOS13R1	内面止水	R1/2	13A
CEOS16R3		R3/4	16A
CEOS20R3		R3/4	20A

※WEOS-10R1 は外面止水タイプです。メーカー在庫なくなり次第取り扱い終了となります。

ユニオンアダプターのラインナップ

商品コード	止水方法	呼び径(ねじ)	呼び径(樹脂管)
CEYS13G1	外面止水	G1/2	13A
WEYS-16G3 ※	内面止水	G3/4	16A

※WEYS-16G3は在庫なくなり次第、内面止水タイプのCEYS16G3に切替予定です。

エルメックスと架橋ポリエチレン管M種の変換用ソケット

リフォーム工事の機器入替や配管更新などで、既設のエルメックスパイプ（E種）と新設の単層の架橋ポリエチレンパイプ（M種）を直接接続したい場合は、「樹脂管EM変換継手」がオススメです。既設管のE種と新設管のM種の13Aと16Aをそれぞれ直接接続できるソケットですので、既設のE種を途中で切断してしまった場合に持っておくと便利です。

商品コード	E種側呼び径	M種側呼び径
WJ72-1313C-S	13A	13A
WJ72A1616C-S	16A	16A

まとめ

集合住宅の既存配管として多く見られるエルメックスパイプを現在主流の架橋ポリエチレン管に管種変更する場合、融着不要のワンタッチ継手が非常に便利です。設備機器やバルブとの接続には「エルメックス®用ワンタッチ継手」のオスアダプタやユニオンアダプター、エルメックスパイプと架橋ポリエチレン管を直接接続したい場合には「樹脂管EM変換継手」をオススメします。いずれもバラ1個からご手配いただけますので、現場でいざというときに困らないよう備えてみてはいかがでしょうか。

※2019年1月31日に公開した記事ですが、情報を更新・新商品を追加し2025年6月25日に再度公開しました。