冷媒用被覆銅管の施工手順を確認しよう

これからのシーズン、ルームエアコン、業務用エアコンなど冷媒用被覆銅管を扱う機会が多くなります。勿論、プロの皆様ですから施工手順については熟知されているとは思いますが、基本に立ち返り、改めて冷媒用被覆銅管の施工マニュアルを確認しましょう。

※この記事は2020年4月23日の記事に加筆したものです。

連成計

冷媒用被覆銅管とは難燃性保温材付きのなまし銅管

そもそも、冷媒用被覆銅管とは何でしょうか?JCDA0009に規定されている冷媒用被覆銅管とは【原管JIS H 3300「銅及び銅合金の継目無管」に規定する銅管によるC1220(リン脱酸銅管)】と【保温材JIS A 9511「発泡プラスチック保温材」に規定するA種ポリエチレンフォーム保温等2種で難燃性を有するもの】からなります。

冷媒用被覆銅管の施工手順を確認しましょう

ここでは、エアコン工事に欠かせない冷媒用被覆銅管の施工手順を整理します。

保温材と銅管を切断します

まず、メジャーで採寸後、保温材をつぶさないよう留意して管を巻き戻します。

保温材の切断

保温材はカッターナイフを使って銅管に対して垂直に切断します。銅管に傷をつけるとガス漏れの原因となることがあります。

タジマ(品番:LC-560YCL)は、オートロック方式の万能カッターナイフです。

タジマ(品番:DC-L560BBL)は、先端をドライバーツールとしても使用できるカッターです。

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銅管の切断

配管に対し直角にあてがったパイプカッターをゆっくり締め込みながら回転させ、銅管に変形が無いよう切断してます。パイプカッターは、銅管サイズに合ったもの使用してください。また、パイプカッターの刃は古くなるとバリが出やすく、力を入れないと切れないため銅管が変形しますので、定期的に交換してください。
なお、金ノコやグラインダーで切断すると切粉が銅管内部に残るため絶対に使用しないでください。

REXのべリング内蔵のチューブカッター(品番:RBN30P)は、外径:5~34の銅管専用です。ロ―ラ―部と刃部にベアリングを採用し、軽くシャ―プな切れ味が人気です。替刃は銅管用のK424237をご利用ください。

REXのベアリング内蔵型チューブカッターで最小モデルの(品番:RBN28)は、外径4~28の銅管専用だから冷媒管に最適です。ロ―ラ―部と刃部にベアリングが採用され、替刃もK424237ですから、大きいモデルと切れ味は同等です。

BBKの(品番:TC-1000)は、スパイラルカッティングの不具合を解消しました。銅管外径4~28ミリ対応です。銅管用の替刃は(品番:TC-1000K)をお使いください。

スーパーツールのミニチューブカッター(品番:TC-103N)は、コンパクト設計で狭所作業に最適。銅管外径3~16mmまで切断できます。替刃は(品番:TCC105)をお使いください。

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リーマとスクレーパでバリを取ります

パイプカッターで切断した銅管は、内面にまくりが出ます。これを削り取りとることでフレア加工等がスムーズに行えます。この作業にはリーマー、スクレーパー等専用工具を必ず使用してください。なお、バリ取り作業は、銅管を下向きにして削り粉などが銅管内に入らないようにしましょう。

クランク式スクレーパー(品番:CT427)は、銅管2分(6.35)~6分(19.05mm)までを円錐状の1枚刃で切断後のバリ取りからきれいな面取りまでできます。

ROTHENBERGERのユニバーサルリーマー(品番:R11006X)は、上下を逆に使うことにより内面外面のバリが取れます。管径は6mm~35mmまでバリ取りでき、管種も銅、鉄、ステンレス、アルミ、真鍮、プラスチック管まで対応できます。

サイジングツールで真円修正します

真円が出ていないままフレア加工すると、偏肉になったり、ロウ付作業で継手が入らなかったり、ロウ材がうまく回らなかったりといった不具合につながります。バリ取りの後は、必ず冷媒管用サイジングツール等で真円修正します。

バリ取りはするけど真円修正まではしていない方もいらっしゃると思います。しなくてもクレームにはならなかったかもしれませんが、万が一、クレームが出ると大きな損失になります。確実な作業をしてクレームを撲滅しましょう。

銅管の曲げ加工

現場に合わせて冷媒用被覆銅管を曲げ加工します。注意する点は、扁平させない・座屈させない・しわを作らないの3点です。曲げ加工は、一度は失敗した事があるのではないでしょうか。座屈などの失敗すると材料代と時間が倍以上要することになり大きな損失となります。曲げ半径など推奨基準を守り正確な施工をしましょう。

手曲げ

冷媒用被覆銅管を手で曲げる場合は、曲げたい箇所の内側を両手の親指の腹で抑え、徐々に管端方向に親指をずらしながら曲げていきましょう。最小曲げ半径は、6.35~12.7までは銅管外径の6倍以上にしてください。15.88以上は銅管外径の10倍以上です。いきなり大きく曲げたり、最小曲げ半径以下で曲げようとすると、扁平・座屈します。少しづつ曲げるようにしましょう。

ベンダー曲げ

曲げ半径を小さくキレイにするにはベンダーを使用しましょう。最小曲げ半径は、銅管外径の4倍以上まで小さくできます。ベンダー使用の注意点は、シワを作らないことです。銅管の質や肉厚に合ったベンダーを使用してください。合わないベンダーや間違った施工をすると、シワができる場合があります。シワがあると銅管が熱収縮を繰り返した時に、シワの谷部に応力が集中し、ひずみ硬化が蓄積し銅管が割れることが懸念されます。

TASCOの3サイズベンダ(品番:TA540W)は、銅管1/4″(6.35mm)、5/16″(7.94mm)、3/8″(9.53mm)を曲げるのに便利です。曲げ角度は90度までです。

TASCOのレバー式チューブベンダは1/4″、3/8″、1/2″、3/4″をラインナップしています。ハンドルは110°の位置から曲げられるので力が入りやすくカンタンなうえ、180°まで曲げ加工ができます。ベストパーツOnlineでは、すべてのサイズを在庫して当日出荷しています。

Asadaの銅管マキシベンダ正逆セット(品番:R23020A)は、樹脂製のシューを入替れば6.35/9.52/12.7/15.88/19.05に使用可能です。同梱の逆作用アダプタを使って1台で正逆両方の曲げ加工ができます。カッコいいケース付です。

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銅管を接続します

次は銅管の接続です。冷媒ガスの漏れなどの重大な事故につながる項目です。正しく施工しましょう。

フレア接続

1.フレアナットの挿入

フレアナットの向きに注意して銅管に挿入しましょう。

 

フレアナット

フレアユニオンと異径フレアユニオン

異径のフレアユニオンナット付や、フレアチーズナット付なども1個から当日出荷可能です。

2.フレア加工

専用のフレアツールを使用して加工してください。施工後のフレア管端部外径寸法は、JIS 8607で規定する下記表の通りです。

呼び 管外径 第2種冷媒フレア外径
1/4 6.35 9.1
3/8 9.52 13.2
1/2 12.7 16.6
5/8 15.88 19.7
3/4 19.05 24.0

加工後、フレアに割れ・キズがないことを確認してください。冷媒の漏れ事故につながります。
フレアツールの詳細については、ブログ「エアコン取付工事に欠かせない!フレアツールの新潮流 」をご覧ください。

3.接続部の取り付け
  1. 継手とフレア面を密着させ、軽く手で絞めこんでください
  2. トルクレンチを用い、フレアナットを2丁掛け絞めこんでください。

フレアナットの締めつけトルクはJIS8607で規定する下記表の通りです。トルクが低いと冷媒漏洩し、高いとフレアナットの応力腐食割れの原因となります。モンキーレンチで勘に頼る作業ではなく、トルクレンチを使って正しいトルクで接続しましょう。

呼び 1/4 3/8 1/2 5/8 3/4
トルク(N・m) 16±2 38±4 55±6 75±7 110±10

Asadaのトルクレンチは校正証明書付です。 R32/R410A用とR407/R404用でナット径が違うのでご注意ください。トルク精度は+-4%です。

TONEのトルクレンチは校正証明書付です。 R32/R410A対応でトルク精度は+-4%です。

3.冷媒漏れ防止剤の併用をオススメします

フレア接続は、冷媒漏れの事故につながりやすい工程です。細心の注意を払い施工しましょう。より、安心するためにフレア面に冷媒漏れ防止剤を使用することもオススメしています。

Asadaの「冷媒漏れ防止剤(品番:RT201B)」 硬化せず乾燥しないため、圧力の高い新冷媒のフレア部に適したシール材です。

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ロウ付接続

銅管の接続にはフレア接続の他にロウ付接続もあります。火を使えない現場が増えてきてワンタッチ接続継手が発売されているため使用頻度が少なくなっているかもしれません。

1.保温材の保護

保温材がロウ付時の熱で損傷しないように、ロウ付箇所からずらす、または濡れタオル等で保護しましょう。

Asadaの耐熱マット(品番:R31050N)

壁をトーチバーナーの熱から守ります。

Asadaのコールドシールドスプレー(品番:SK-COLD)は、炎の接触部にバリアを作り、バーナの熱と炎から表面を保護します。100%自然分解で環境にやさしく、無毒で皮膚に付いても安心です。

2.銅管の表面処理

接続部分の銅管外面、及び継手内面や端面を研磨布等で磨き、酸化被膜や汚れを取り除きましょう。

ROTHENBERGERのナイロンたわし(品番:R45268)は、特殊加工樹脂により、銅管の酸化被膜、腐食、汚れや油脂残留物をきれいに除去します。

3.フラックス塗布

フラックスは必要最小限に塗布し、接合部の管端から3~5mm離して銅管外面に塗布します。そこで気をつけるのは継手内面には絶対に塗布しないことです。思い込みでフラックスは多く塗布した方がロウ付に良いと思っている方がいらっしゃいますが、フラックスの塗布多いとロウ付に悪影響を及ぼす事になり腐食の原因となりますのでご注意ください。

フラックス(品番:SFK-M100)は、緑青が出にくい弱腐食性のフラックスです。容器は倒れても転がらない形状なので液がこぼれ出にくい形状です。

フラックス(品番:SFK-F100)は、塗りやすく出しすぎても素早い吸込みで作業がしやすい容器です。

4.継手の差し込み

フラックスを塗布した銅管へ銅継手を差し込みます。継手の奥にストッパーがあるので当たるまで差し込みます。継手を2~3回まわしフラックスを銅管表面に馴染ませましょう。

ロウ付継手にも規格があります。冷媒配管用にはJCDA規格のロウ付継手をオススメします。詳しくは、ブログ「JCDA規格のロウ付継手を新規ラインナップしました。 」をご覧ください。

JCDA規格のロウ付継手は当日出荷です。

5.予熱

ロウ付作業にとってガストーチバーナーでの加熱は最大のポイントです。ロウ付部を適温(270~320℃)まで均一に加熱する必要があります。銅管は熱伝導性に優れているので、均一に加熱されやすい特性を持っています。加熱はガストーチバーナーなどで行います。銅管と銅継手に炎を当てるとある程度均一に加熱ができます。しかし、加熱しすぎるとフラックスが炭化する場合があるので注意しましょう。

ガストーチスパークリング(品番:ST450SR)の炎は、リング状でパイプを効率よく加熱します。商品ページの関連商品もご参照ください。

5.冷却・確認

ロウ付作業後は、配管が高温になっているため濡れタオル等で冷却します。ピンホールやロウ回り不良がないか外観を確認してください。

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保温材を接続します

保温材は長さ方向で最大2%程度(4m当たり約8㎝)収縮します。保温材収縮による隙間からの結露が事故につながる場合があります。結露事故を無くすために隙間を作らないよう処置が必要になります。

保温材の調整

接続部の端面の汚れ、脂分、水分等をよく取り除き隙間ができないよう接続面を整えましょう。

接続

保温材端面に隙間が生じないように突き合わせて「保温材専用テープ(品番:JTA-100/IV)」を用いて保温材の接続部がテープの中央になるよう巻き付けます。その後、巻き付け部を手でしっかりなじませてください。

アルミ素材の保温材接続テープ(品番:JTA-100/IV)は、高粘着力で接続部をしっかり保持します。

まとめ

冷媒用被覆銅管の施工手順と注意ポイントは、以下8点です。

  1. 保温材の切断ではカッターナイフを用いて銅管を傷つけないようにする
  2. 銅管の切断では専用パイプカッターを用いて銅管が変形しないようにする
  3. バリ取りは銅管を下向きにしてリーマやスクレーパの削り粉が管内に入らないようにする
  4. 銅管が変形している場合はサイジングツール用い真円修正する
  5. 管の曲げ加工は「扁平させない、座屈させない、しわを作らない」ようにする
  6. フレアナットはトルクレンチを用い2丁掛けで絞めこむようにする
  7. ロウ付はフラックスの塗布量を必要最小限にする
  8. 保温材は約2%収縮するので隙間を作らないように接続する

施工業者の皆様は特別な意識はしていなくても普段から実践していることばかりだと思いますが、エアコンシーズンを前に改めて普段の作業を確認し、正しい施工方法を徹底して事故やクレームリスクを回避しましょう。

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