
既存の給排気筒を再使用する時のチェックポイントとツール
※この記事は2019年4月4日に公開しましたが、修正して2021年11月17日に再度公開しました。
既設の排気筒の接続方式に適切な対処を!
GHタイプなどの差し込み式にリベット固定、OJPタイプにストップリング、SOP、SOPN、KPなどのロック機構。約10年前までの給排気筒は、こうした各種の抜け防止対策が次々に開発され、ガス給湯器の発売年度やメーカー毎に異なっていました。よって、既設の給排気筒を再使用して排気に含まれる水分量が多くなるエコジョーズに取り替える場合、排気筒の接続部からドレン水が漏れないよう、適切な接続方式やロック機構を備えた給排気筒を選定することが肝要です。
排気筒・給排気部の点検ポイントとツール
ガス機器の給排気筒工事には必ず「特監法(特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律)」に基づき判断・施工することが大前提。ガス機器の取替時には、排気筒と給排気部を点検し、材質と施工法等が取替時点において法令に適合していれば再使用が可能です。
点検すべきポイントは、【排気筒材質がSUS304か?】【しっかり固定されているか?】【接続部の処理が正しく行われているか?】の3点です。勾配が取れておらずドレン水が滞留している箇所は、【排気筒が腐食していないか】もしっかり確認してください。
1.給排気筒の材質はSUS304か?
給排気筒にJIA認証表示ラベルが貼られている場合は、材質がSUS304と判断してください。但し、注意が必要なのは、認証表示ラベルに「レベル1」と表示されている場合です。その場合は、材質がSUS304以外の恐れがありますので、磁石を近づけて確認してください。非磁性体であるSUS304は磁石はつきませんが、基準に適合しないSUS430は磁石がつきますので区別する事が可能です。また、適合材料であっても腐食がないかを点検することを忘れずに実施してください。なお、勾配が取れていない場合は、ドレン水が溜まり腐食が進行している恐れがあります。
2.しっかり固定されているか?
給排気筒の固定は専用の支持金具で、1.5~2mピッチで堅固に固定されていることを目視、指触にて確認します。
3.接続部の処理が正しく行われているか?
ロック機構がある給排気筒の場合
接続部の確認は、ロック機構付きの給排気筒の場合は完全にロックされているかだけを確認していただければ結構です。なお、旧式のロック機構から最新のロック機構に変換する各種アダプターをご用意しておりますので、ご不明な点がございましたらお問合せください。
給排気筒と点検方法は外部からの目視とされていますが、排気延長距離が長く目視では確認できない場合や、二重管(図1)で内筒が外部から点検できない場合は、工業用内視鏡にて内部を点検することを強くオススメしております。また、録画機構付を選べば、報告書の作成も楽になります。
工業用内視鏡
品 番 | 電 源 | モニター | 基準価格 |
SDI-120 | アルカリ単3乾電池×4 | 3.5インチ | ¥37,700 |
工業用内視鏡(SDI-120)用カメラケーブル
品 番 | 外径サイズ | ケーブル長 | 基準価格 |
CC12-3 | φ12.0 | 3m | ¥18,400 |
CC12-5 | φ12.0 | 5m | ¥25,600 |
CC55-1 | φ5.5 | 1m | ¥27,900 |
CC55-3 | φ5.5 | 3m | ¥33,500 |
CC55-5 | φ5.5 | 5m | ¥39,500 |
ロック機構のない給排気筒の場合
FE式・FF式で既設の給排気筒にロック機構の無い場合は、【差込に問題はないか?】【ネジ、リベット等で抜け防止が施されているか?】【260℃以上の耐熱性を有するシール材でしっかりシールされているか?】を目視、指触で確認してください。
260℃以上の耐熱性を有する「超耐熱用シリコーン(品番:KE3418)」
品 番 | 容量㎖ | 色 | 基準価格 |
KE3418 | 330 | ブラック | ¥6,300 |
特監法に準じた材質のビス「スーパーピアスタ(品番:PBS-413)」
CF式の場合は、差込に問題はないか?ネジ、リベット等で抜け防止が施されているか?を目視、指触で確認してください。
品 番 | 規 格 | 基準価格 |
PBS-413 | 4×13mm | ¥20 |
施工後には特監シールを貼る
特定ガス機器の設置、変更の工事終了後は、必ず特監シール(特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律第6条の規定による表示ラベル)を給湯器と排気筒それぞれに貼り、表示する義務があります。なお、記入は黒色のボールペンか、油性のフェルトペンなどを使用してください。
品 番 | 幅(mm) | 長さ(mm) | 基準価格 |
SK47TC | 40 | 70 | ¥25 |
まとめ
ガス機器交換時の既存排気筒を再利用する際には、【排気筒の材質がSUS304か?】【固定のピッチは1.5~2mの間隔でしっかり固定されているか?】【接続部の処理は適切か?】の3つがポイントです。そして、特定工事終了後は、必ず特監法表示ラベルを給湯器と給排気筒に貼り表示してください。繰り返しになりますが、特定ガス消費機器の取付けは、特監法(特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律)に基づき行ってください。

星孝幸

最新記事 by 星孝幸 (全て見る)
- 排気筒の下り勾配を取るのに便利な吊金具 - 2023年6月2日
- 木ネジを見直す!締結力なら【コーススレッド】、締付力には【コンフィット】 - 2023年5月24日
- 既設管がφ15.88とφ22.22の銅管なら、迷わず【TFテクタッチ】 - 2023年5月15日