
「玄関ドアが開かない」「窓が重い」の原因を解説!「差圧式給気口」で負圧を解消!
原因は住宅の高気密化?給気量不足を解消しよう
昨今のZEHをはじめとした住宅のエネルギー効率化や、コロナ禍禍降の在宅ワークの定着による防音性の需要の高まりにより、高気密住宅は以前に増して普及しつつあります。しかし一方で、ドアや窓が重くなったり鍵がかけられなくなるといったトラブルが少なくありません。
その多くは、給気量不足を解消すれば解決できる可能性が高いです。しかし、単に給気量を増やしては気密が保たれなくなるため、採用する給気口の選定は慎重に行うべきです。きちんと見直し・検討して、快適な生活を提供しましょう。
自宅のドアや窓が重い要因は室内と外の気圧の差
住宅の進化によって改善したことの一つは、間違いなく高気密化です。建築基準法の改正により、これまでの各部屋単独の換気でなく家全体を計画的に24時間換気するようになり、窓を開けなくても室内の空気をきれいに保つことができるようになりました。ただし、これは計算上の話。実際ハウスメーカーやマンションデベロッパーは、以下をユーザーに促しています。
- 日ごろから給気口を開ける
- 給気口を掃除する
- 換気扇やレンジフードを弱で回す
- 換気扇やレンジフードを使う時は窓を少し開ける
レンジフードの運転は気圧差の生じる最大の原因!
キッチンのレンジフードの排気量は、通常の常時換気システムの排気量と比較し10倍~20倍とまさに桁違い。特に高気密住宅では、レンジフードを運転した途端に急増する排気量に対して給気口から取り入れる空気量が不足して、室内が負圧状態に陥り「ドアや窓が重くて開かない」「排水口から悪臭を吸い上げてしまう」という現象が発生します。勿論、レンジフードを運転する時に窓を開ければ負圧は解消しますが、光熱費の無駄、アレルギー物質の侵入、音漏れなどが気になりますし、何しろ毎回窓の開け閉めをするのは面倒です。また、「同時給排気レンジフードを設置したが、給気口と排気口を近づけすぎたため、ショートサーキットを起こし負圧が解消できない」といった事例も耳にします。
宅内環境を快適に。「差圧式給気口」を使った対策
「差圧式給気口」の仕組み
「差圧式給気口」は、室内外の気圧差を利用して自動的に開閉する機能を持つ給気口です。負圧を感じるとダンパーが開き、空気(外気)が入ってくる構造を有しています(下図参照)。換気扇やレンジフードを作動すると室内の圧力が下がり負圧になりますが、「差圧式給気口」を設置していれば、その排気量に応じて外気を取り込み、屋内外の気圧差を小さくできるのです。

ユニックスのフラットカバーは、カバー裏面にドーム状の整流板と新たに開発した乱流防止板により、給気時の気流が壁面に沿うことなく斜め前方に放出することで壁汚れを極小化します。

ロックスイッチを押すと完全にダンパーを閉じる事もできます。
一般的な給気口の場合、強風時には必要以上に外気が給気され室内空気環境のバランスに影響を及ぼしてしまいかねません。「差圧式給気口」は、必要以上に外気が給気されると自動的に「コントロール羽根」が作動し、開口スペースを調整する事であらかじめ設定された給気量を維持しながら室内空気環境のバランスを整えます。
壁面に取り付ける差圧式給気口
「壁面設置用 差圧式給気口(品番:PDF150BWF)」は、主にマンションに採用されることが多く、ベランダ側壁面に取付けられています。
品番 | 外径(mm) | 奥行(mm) | 適合パイプ径 |
PDF150BWF | □192 | 66.5 | φ150 |
壁でも天井でも取り付けられる差圧式給気口
フラットカバー仕様の「天井設置用 差圧式給気口(品番:PDK150BWF)」は、目立たないようにキッチンの天井に取り付ける事例が多く見られます。
品番 | 外径(mm) | 奥行(mm) | 適合パイプ径 |
PDK150BWF | 192 | 65 | φ150 |
フィルターのお掃除は必要
当然ではありますが、「差圧式給気口」の性能を保つののも、フィルターの洗浄は必要です。ユーザー自身で洗うことができ、かつ繰り返し使えるものですが、施工時にはユーザーがカバーの脱着等の作業がしやすいスペースを確保されるようお願いいたします。ベストパーツオンラインでは、フィルター単品を1枚から手配が可能です。交換の際にはご用命ください。
品番 | フィルター仕様・材質 |
PDF-F | メッシュフィルター(合成樹脂) |
品番 | フィルター |
PDK-F | メッシュフィルター(合成樹脂) |
まとめ
高気密住宅では、ドアや窓が重くて開かないことがあります。原因は室内と室外の気圧の差ですから、何かしら室内に空気を取り込む工夫が必要です。ユーザーに窓の開閉を要求しても解消しますが、設備のプロとしては「差圧式給気口」を設置することでユーザーに負担をかけず、負圧を解消したいものです。新築時はもちろん、ビルトインコンロやIHクッキングヒーターに入替えた際に「同時給排気レンジフード」を採用した現場にも是非ご採用下さい。
※本稿は2019年9月11日に公開しましたが、最新の情報に更新、校正を行い2025年6月19日に再公開しました。

室橋尚哉

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