
省エネと快適を両立する床暖房用温水マット 「エクセルソーレ45」徹底解剖
2019年7月10日にアップした「床暖房の省エネルギー効率向上。いまどき温水マットの最新事情」では書ききれなかった温水マット「エクセルソーレ🄬45」について長所だけでなく、採用にあって注意したい点まで取り上げます。
エクセルソーレ🄬45とは?
名前が示す通り、暖房能力の目安とされる100w/㎡を従来の通湯温度60℃より低い、45℃で実現できる温水マット。45℃の温水で60℃と同じ暖房感を得られるので、床暖房の快適性はそのままに、省エネルギーに貢献します。
新たな配管レイアウトを開発して暖房効率アップ
最新の規格である「エクセルソーレ🄬45」は、マット内パイプ径を従来の5Aから6Aに引き上げ、小根太間のパイプ本数は新たな配管レイアウトを開発して4本から6本に増やすことで放熱能力を高めました。搬送用架橋ポリエチレン管、CH継手、CHヘッダーは従来品が使えます。
現状、45℃通湯タイプの製品化は、床暖房用温水マットを世界で初めて製品化した三菱ケミカルインフラテック株式会社しか開発に成功していません。
施工は従来方式と変わらない
根太、床下断熱材の上に12mm以上の合板下地を敷き、その上に畳一畳サイズに折りたたまれている温水マットを敷き広げ、ビス固定するだけの従来と変わらないカンタン施工です。
豊富な32パターンのサイズラインナップ
最大サイズ2379×3333から最小864×909までの32パターンのサイズがラインナップされているため、一般的な設計であれば十分満足できます。
しかし、アイランドキッチンや変則的なサイズが必要な場合は、以前複雑な床暖房のレイアウトを実現する「キュア真打」で紹介した「エクセルソーレ キュア真打」も検討に入れることをオススメします。
対応範囲が広い特注サイズ
32パターンのラインナップでは対応できない場合は上図の範囲内で特注サイズの製作を承ります。納期は約3週間程度かかります。
幅広い熱源器に対応
通湯温度45℃(投入熱量110w/㎡)で暖房出力(100w/㎡)を期待できるので、高い暖房能力を有するガス、石油熱源から、高温出力は苦手なヒートポンプ式の熱源まで対応できます。
ただし、55℃より高温での使用は、低温やけどの原因になりますので注意して下さい。
広い面積に敷設できる
同じエクセルソーレ🄬シリーズの「エクセルソーレ🄬55(55℃通湯タイプ)」と比較すると、圧力損失が約1/3程度と低いことがわかります。よって、従来より広い面積への敷設が可能なうえ、場合によっては回路数を減らし枝管分岐することも可能です。
品名 | 品番 | 圧力損失 |
エクセルソーレ🄬45 | KNS2433S-A | 20kPa |
エクセルソーレ🄬55 | UFM-12FBSK2433 | 31.1kPa |
採用にあたって注意したい点
ポンプ能力を確認する必要がある
エクセルソーレ🄬45の性能を発揮させるには、従来の温水マットに比べ最大約30%程度多くの流量が要求されます。圧力損失が低く広い面積に敷設できますが、熱源機やポンプの選定にあたっては流量を考慮する必要があります。
品名 | 品番 | 流量 |
エクセルソーレ🄬45 | KNS2433S-A | 2.3L/min |
エクセルソーレ🄬55 | UFM-12FBSK2433 | 1.5L/min |
熱源器のタンク容量に注意
従来の温水マットにおける小根太間の材料は「5Aのパイプを4本」のところを、エクセルソーレ🄬45の場合は「6Aのパイプを6本」に引き上げたため、その分温水マット内に保有される不凍液の量が多くなります。例えば、2379×3333サイズのマットで比較した場合、従来マットの保有水量が2.5Lに対して5.4Lと約2倍になっています。
敷設枚数が多い場合は、熱源機のタンク容量を確認が必要です。タンク容量を超える設計にすると暖房運転時に膨張した不凍液が吸収しきれず、回路外に排出する安全装置が働き熱源機が運転を停止します。暖房運転が止まると不凍液は冷え収縮するので次回運転時には不凍液不足のエラーが出てしまいます。
タンク容量を超える場合は、各熱源機メーカーの指示に従い半密閉式膨張タンクや密閉式膨張タンクを増設するなどして膨張した不凍液を吸収する必要があります。
まとめ
高効率で省エネルギーなエクセルソーレ🄬45は快適な住環境を実現できるベストなパーツではないでしょうか?ご意見、ご質問はお気軽に。
答えは一つだけじゃない!本当に便利な検圧プラグ【次の記事】
【ベストパーツ】の専用工具レンタルで、管と継手の接続部を圧縮するだけのスピーディーな施工が可能になるエスロンメタキュットを手軽にシェア|電動式圧縮工具セット【AK25RF】

大宮彰大
2008年入社(33歳)
温水暖房分野を担当し2013年4月完成のベストパーツ株式会社社屋の冷暖房部材選定を行う。
MAIL:omiya.shota@best-parts.jp

最新記事 by 大宮彰大 (全て見る)
- ガス温水暖房熱源機には往き戻りの温度差を抑制する「高断熱ペアチューブ」がおすすめ! - 2021年1月15日
- すぐにわかる!温水暖房用架橋ポリエチレンパイプと継手の組合わせ - 2020年12月22日
- ヒートポンプ式温水暖房システムの無駄な熱交換を極小化する「エクセルペアチューブ」 - 2020年12月10日