給排気筒の種類と適切な使用方法

給湯器の技術的進化に伴い、排気筒もその設計や材質において大きな変革を遂げてきました。初期には自然排気式(CF式)の簡易的な煙突が主流でしたが、ガス給湯器の普及により、排気ガスの温度や成分の変化、そして安全基準の厳格化を背景に、排気筒の材質や形状は進化を続けてきました。ベストパーツでは、これらの変遷を踏まえた給排気筒のラインナップを提供しています。本記事では、それぞれの給排気筒の特徴と、最適な使用機器について詳しく解説します。

給湯器の変遷に応じた給排気筒の品揃え

初めての大きな変化は、給湯器が石油からガスへとシフトした際に見られました。ガス給湯器の普及に伴い、排気ガスの温度や成分が変わり、それに合わせて排気筒の材質や形状が大幅に見直されたのです。次の変化は、密閉燃焼方式の採用が増えてからです。これに伴い強制給排気式(FF式)の機器が発売され、二重管式の排気筒(FF-W)が普及していきました。このタイプの排気筒は、外側の管で外部からの給気を取り入れ、内側の管で排気を排出する構造となっており、安全性と効率を高めています。さらに、高効率のガス給湯器、いわゆる「エコジョーズ」の登場により、低温の排気ガスを効率よく排出するための排気筒が求められるようになり、コンパクトで設置しやすい二本管式が求められるようになってきました。

今、一番売れている水密性の高いシングル管「SEPシリーズ」

水密性の高いSEPシリーズはエコジョーズとガス衣類乾燥機に合わせてΦ100とΦ80で、多様なラインナップを展開しています。

シングル管のSEPシリーズは、熱源機メーカーがオプションパーツとして採用しているNKPシリーズと同じロック機構を持ち、ガス・石油問わずFF式とFE式の熱源機の給排気筒として、現在最も人気があります。このシリーズの特徴は、かん合部に使用されるフッ素Oリングの高い水密性にあります。これは、特に「エコジョーズ」や「ガス衣類乾燥機」のような機器から排出される水分を多く含む低温の排気ガスに対応するためのものです。寒冷地では、排気筒のかん合部の水蒸気が凍結し、燃焼に悪影響を及ぼす可能性がありますが、SEPシリーズは二重管に比べて断熱材を巻きやすく、勾配も確保しやすいという利点があります。また、当社のFF式およびFE式給排気筒の共通の特徴として、銘板シールのレッドラインを下側にして配管することで、腐食しやすい溶接部が結露水から保護されるよう設計されています。

NKPとコンパチなシングル管「SKPシリーズ」

従来型の給湯器に合わせてΦ60で、多様なラインナップを展開しています。

シングル管のSKPシリーズは、ガス熱源機メーカーがFF及びEF式熱源機のオプションパーツとして採用するNKPシリーズと同様のロック機構とOリングを特徴としています。前述のSEPシリーズと比較すると、水密性においては一歩劣るものの、高温の排気ガスを持つ従来型の給湯器に対しては、十分な気密性を確保しているのが特長です。

給気と排気を同時に行う構造で、安全性と効率を向上させている二重管「Wシリーズ」

二重管はW18(φ120×φ80)とW17(φ110×φ75)で、多様なラインナップを展開しています。

Wシリーズの二重管給排気筒は、FF式ガス熱源機向けに特化した設計となっており、内筒には燃焼機器の排気が、外筒には給気が流れます。そのかん合部には、排気の漏れを防ぐためのフッ素Oリングが組み込まれており、さらには抜け止めのためのロック機構も備えられています。これらの仕様は、多くの燃焼機器メーカーがオプションパーツとして採用しているφ120×φ80およびφ110×φ75の二重管給排気筒と同等で、互換性があります。また、製品のバリエーションは豊富で、直管3種類、スライド管5種類、短管4種類、90°エルボ、45°エルボ、30°エルボなど、さまざまな設置環境やニーズに対応するためのラインナップを展開しています。

ストップリングでロックする「OJPシリーズ」

メス側にOリングを備えているものの、抜け止め機構がないOJPはSEPに切り替わりつつある。

OJPの管同士をつないだ際に抜けを防止するストップリング。

OJPシリーズは、JIA(日本ガス機器検査協会)の認定を受けていないため、石油熱源機専用のFF・FE式に適合する排気筒です。前述のSEPシリーズと比較すると、内部には同様にOリングを持っていますが、排気筒間のロック機構は装備されていません。SEPシリーズと比べて機能や仕様が下位互換となっているため、市場での需要はSEPに取って代わられつつあります。しかし、既存の設備の入替や延長、改修時などの特定のシチュエーションでの利用は継続しています。

業務用のCF・FE式ガス給湯器と組み合わせる「φ120シームレス管」

つなぎ目がなく耐食性と美観に優れるシームレス管!

Φ120シームレス管は業務用のガス給湯器で使用します。特徴はシームレス溶接により、つなぎ目が目立たず、美観に優れるだけでなく、つなぎ目からの腐食も抑えられ、設備更新がしにくい業務用給湯設備に最適です。惜しいのがSEPシリーズの様に接続部にOリングや抜け止め機構はないため、排気漏れ防止のために「超耐熱シリコン(品番:KE3418)」、抜け防止のために「スーパーピアスタ(品番:PBS-413)」がそれぞれ必要なことです。ラインナップはシンプルで直管、半直管、90°エルボ、45°エルボ、エルボトップです。

ガスCF・FE式の熱源機と組合わせるハゼ折りのSUS304排気筒

写真は多翼トップセット(品番:SS-100J)必要な部材がセットで入っているため選定の手間が省けると人気!

「SSシリーズ」でも、JIA(日本ガス機器検査協会)の認定を取得しているSUS304製の本品は、CF・FE式のガス風呂釜及び給湯器に使用されます。しかしながら、SEPシリーズのような接続部のOリングや抜け止め機構を持たないため、排気の漏れを防ぐためには「超耐熱シリコン(品番:KE3418)」、抜けを防止するために「スーパーピアスタ(品番:PBS-413)」が必要となります。

石油CF式風呂釜や薪ストーブにはハゼ折りのSUS430排気筒

石油風呂釜に使用できるもっとも安価な排気筒セット(品番:SS-106-ALSET)

CF式の石油風呂釜や薪ストーブには、長年にわたり信頼されている超ロングセラーの「SSシリーズ」から、SUS430製の商品が適しています。本品はフェライト系のステンレス鋼を採用しており、耐食性が低いため、ガス熱源機への使用はできない点に注意が必要です。

まとめ

給湯器の技術が進化する中で、排気筒の設計や材質も大きく変わってきました。初期の自然排気式から、ガス給湯器の普及とともに排気ガスの特性や安全基準が変わり、排気筒もそれに合わせて進化してきました。特に、エコジョーズやガス衣類乾燥機などの新しい機器の登場により、水密性や気密性を高めた新しい排気筒が求められるようになりました。ベストパーツでは、これらの変遷を踏まえ、多様な給排気筒のラインナップを提供しております。
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大宮彰大

大宮彰大

営業部所属:ベストパーツ株式会社
2008年入社(36歳)
温水暖房分野を担当し2013年4月完成のベストパーツ株式会社社屋の冷暖房部材選定を行う。
MAIL:omiya.shota@best-parts.jp
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