正しく施工すれば長期間メンテナンスフリーで安定した能力を発揮できる密閉式温水暖房システム。使用される配管には酸素を透過しないことが要求されます。密閉回路に使用可能なパイプとして銅管やアルミ三層管といった管種もありますが、とりわけO2ストップパイプは柔軟性に富み軽くて取り回しの容易な樹脂管です。本稿では数あるO2ストップパイプの中で最も早く商品化にこぎつけ、長年実績のある三菱ケミカルインフラテック社の「高断熱コアチューブO2」を紹介します。

往き戻りの温度差を小さくできるからガス・石油熱源に最適！

「高断熱コアチューブO2」は厚み8mmのポリエチレン30倍発泡保温材の中（コア）に往き戻りをペアにしたO2ストップパイプが入っています。往き戻りのパイプ間で常時熱交換しているので、往き戻りの温度差が小さく、ガス・石油熱源であれば燃料供給量を抑えることができ省エネにつながります。

業界最小の保温材外径で貫通部や床下の狭所スペースでも楽々施工

7AのタイプではA寸が33.5mm、B寸が26mmと保温材付きのペア配管の中では非常に小さく、複数本貫通させる際や床下でまとめるときなど他の管種に比べコンパクトに施工できます。

例えばφ100のスリーブには「高断熱コアチューブO2（品番：XLS-7N-I-O2）」は8本も通すことができます。

系統数が多くなりがちな密閉式温水暖房システムに適した配管と言えます。

高断熱コアチューブO2

品番	呼び径	A	B	全長
XLS-7N-I-O2	7A	33.5	26.0	50m
XLS-10N-I-O2	10A	45.5	35.0	50m

O2バリアフィルムにキズがつきにくい独自設計

O2ストップパイプは、従来の温水暖房用架橋ポリエチレン管にO2バリアフィルム層（EVOH=エチレンビニルアルコール）で酸素を遮断します。そのためO2バリアフィルムにキズがついてしまうと酸素透過防止機能が失われてしまいます。三菱ケミカルインフラテック社のO2ストップパイプはO2バリアフィルム層を内層と外層の間に入れることでキズによる酸素透過防止能力の低下を防いでいます。

継手は締め付け式かタケノコ式のみ

O2ストップパイプには専用継手以外にオンダ製作所製のカポリ2ジョイントも使用できます。また温水マットへ接続するケースもあるかもしれません。その際には、タケノコ式継手に専用の「O2ストップ用ワンタッチバンド（品番：O2-7B）」を用いれば酸素透過を極力抑えることが可能です。さらに鉄製パネルラジエータへ直接接続するための「パネコンジョイント」もラインナップしております。一方、架橋ポリエチレン管用のワンタッチ継手が使用できない点に注意が必要です。

O2ストップ専用ハーフジョイント

品番	樹脂管	ねじ
OHJ-7A	7A	R1/2
OHJ-10A	10A
OHJ-13A	13A
OHJ-16A	16A

パネコンジョイント

品番	樹脂管	適合パネルメーカー
OPJ-7H	7A	旭イノベックス、ダイヤノーム等
OPJ-10H	10A	旭イノベックス、ダイヤノーム等
OPJ-13H	13A	旭イノベックス、ダイヤノーム等
OPJ-7D	7A	森永エンジニアリング
OPJ-10D	10A	森永エンジニアリング
OPJ-13D	7A	森永エンジニアリング
OPJ-10DN	10A	ピーエス
OPJ-13DN	13A	ピーエス

ワンタッチバンド（O2ストップ）

品番	呼び径
O2-7B	7A
O2-10B	10A

まとめ

密閉式温水暖房システムで使用される配管には酸素を透過しないことが要求されます。しかし、これまで密閉回路に使用されてきた銅管はロウ付や曲げ加工が厄介なうえ価格が高止まりしています。アルミ三層管は接続や曲げ加工が容易ではあるものの柔軟性に乏しく階段下などでは施工が難しいといった課題もあります。その点、柔軟性に富むO2ストップパイプを使った「高断熱コアチューブO2」は、ペアにしても軽くて取り回しの容易なうえに価格も安定しています。また、断面積が小さくコンパクトなので狭所配管も楽々。ガスや灯油の熱源機を利用するユーザーであれば、燃料供給量を抑えることができ省エネにつながります。密閉式温水暖房システムの部材選定の際にはぜひご検討下さい。