給湯器の排ガスには、約60％が水蒸気であり、その他にも一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水素などが含まれています。しかし、施工が不十分な場合、排ガスが漏れて一酸化炭素中毒などの大きな事故につながる可能性があります。そのため、ガス機器の設置工事では「排気筒・給排気部は、容易にはずれないよう強固に接続し、かつ、燃焼排ガス漏れを防ぐ措置を講ずること」という設置基準があります。さらに、排ガスは酸素と反応して有害な物質に変わるため、耐食性も考慮しなければなりません。このため、「SUS304または同等以上の耐食性を持つ素材を使用する」とも定められています。

要件を満たすための超耐熱シリコーンと下穴不要のSUS複合ドリルねじ

ベストパーツのラインナップには、様々なモデルがあります。その中で、FF用の二重管モデルであるW18モデルとW17モデル、そしてFF用のシングル管モデルであるφ100SEPモデル・φ80SEPモデル・φ60SKPモデルには、特監法の要件を満たすために必要なフッ素Oリングと抜け止めロック機構がすでに装備されています。

一方で、CF・FE用のシームレス管モデルであるFFEモデルとハゼ折SSモデルには、Oリングや抜け止め機構が装備されていないため、特監法の要件を満たすためには、施工上の対応が必要です。この問題に対する解決策として、本稿では特監法の要件に合致する超耐熱のシリコーン「KE3418」と下穴不要のビス「PBS-413」をご紹介します。これらの部材は、安全性と信頼性を確保しながら要件を満たすための選択肢となるでしょう。

超耐熱シリコーンのラインナップと特長

超耐熱用弾性シーリング材「KE3418」は、250℃くらいまでゴム弾性を必要とする排気筒に最適です。ペースト状なのでコーキングガンだけでなく、ノズルを使った塗布にも向いています。塗布した後は湿気に反応します。タックフリータイム（表面を指で軽く触っても、指につかない状態になるまでの時間）は比較的早く、約5分です。この製品には、コーキングガンを使用する330mLカートリッジタイプとノズルを使用する100mLチューブタイプの2種類をラインナップしています。

カートリッジタイプの「超耐熱シリコーン　容量330mL（商品コード：KE3418）」

商品コード	容量(mL)	色
KE3418	330	ブラック

チューブタイプの「超耐熱シリコーン　容量100mL（商品コード：KE3418-100）」

商品コード	容量(mL)	色
KE3418-100	100	ブラック

下穴不要のSUS複合ドリルねじ

「ドリルねじ」とは、ねじの先端に切り刃（ドリル）が付いており、ねじ自体で下穴を作り、タップたてと締め付けを一括して行うことができるタイプのねじです。この特性により、締結作業が効率的に進められます。

特に、「スーパーピアスタ（商品コード：PBS-413）」は、ステンレス同士の複合材で構成されています。先端の刃は硬質なSUS410焼き入れ材を使用しており、切れ味に優れています。さらに、途中から基材に接するねじ部分には、耐食性に優れたSUS304が採用しています。これにより、耐食性にも優れた特性を兼ね備えています。

そして、「スーパーピアスタ」は、特監法で求められる「排気筒材料と同等以上のリベット」に適合している信頼性の高い製品です。そのため、耐久性と安全性を両立させる際の選択肢として最適です。

商品コード	規格
PBS-413	4x13mm

まとめ

Oリングや抜け止め機能のない排気筒には、「気密性に優れつつ確実に固定される方法」を導入することが重要です。これを実現するためには、まず【気密性】を確保する必要があります。高温にも耐えられ、かつ腐食性のない超耐熱シリコーン「KE3418」の使用を検討してください。

また、同様に【確実な固定】も欠かせません。そのためには、下穴を必要とせずに、かつ耐食性にも優れたスーパーピアスタ「PBS-413」が最適です。これにより、確実な固定を実現しながらも、施工の手間を大幅に削減できます。

総括すると、排気筒の気密性と固定を向上させるためには、超耐熱シリコーン「KE3418」による【気密性の確保】と、下穴不要で耐食性に優れたスーパーピアスタ「PBS-413」による【確実な固定】を組み合わせることが有効です。これによって、安全性と信頼性を高めた施工が可能となります。

※本記事は2023年8月17日に公開しましたが、修正を加えて2025年10月21日に再度公開しました。