エコキュート ヒートポンプ配管の選び方【架橋ポリエチレン管】

ヒートポンプ配管は金属強化ポリエチレン管が基本になっていますが、メリットとデメリットを考えるとどの管種が良いでしょうか?最も古くから採用されている銅管、腐食しない架橋ポリエチレン管、腐食しないうえ金属管のような垂直配管ができる金属強化ポリエチレン管、耐熱温度に余裕がある10年保証のフッ素樹脂系ホース。そんな4つの選択肢のうち、今回は「架橋ポリエチレン管」について解説します。

架橋ポリエチレン管が採用されるようになったワケ

ヒートポンプと貯湯槽の間の配管、いわゆるヒートポンプ配管に銅管を採用するのはごく当たり前のことでした。というのも、普段銅管を使わない業者に対しても、機器メーカーがヒートポンプの出湯温度が95℃にもなる場合があることを理由に樹脂管の使用を禁止していたからです。

銅管は耐熱性が高いとはいえ、2003年頃から販売台数が急増し始めていろいろな施工業者が施工するようになると、やはり架橋ポリエチレン管の出番。そこに加えて、水系によっては銅管の腐食や緑青が発生する現場も目立ち始め、機器メーカーのサービス部門が配管の交換浴槽の清掃に追われたこともあり、腐食や緑青の恐れがない管種の採用に踏み切るのも必然でした。

機器メーカーが推奨しているのは三菱ケミカルインフラテックのHCグレードだけ

ヒートポンプ配管の共通の問題として把握しておきたいのは耐熱温度。エコキュートメーカーが公に接続承認している架橋ポリエチレン管は「三菱ケミカルインフラテック社製のHCグレード」だけです。

当初は、施工業者が価格や施工性を、一部機器メーカーがマンションデベロッパーやハウスメーカーの意向を理由に様々な樹脂管が使われました。しかし、ヒートポンプの特に往き側の出湯温度が高温になるため、一般的な給水給湯温度で設計されている樹脂管の場合は、加速度的に劣化が進み漏水や内面剥離などの事故が度々発生しました。現在では、各樹脂管メーカーの資料を詳しく見ると「エコキュートのヒートポンプ配管には使用できません」という一文が入っています。

給湯効率が高いから10A

エコキュートの連絡配管の場合、一部メーカーを除いて「10A」(内径φ9.8)のサイズを前提に設計されています。また、JIS規格としては「JIS K6769 PN15」という附番がされているものが該当します。後発エコキュートメーカーが汎用性の高い13Aを推奨したことがありましたが、現在では給湯効率を少しでも向上させるために10Aが当たり前とされています。

三菱ケミカルインフラテック HC-10

ペアチューブタイプの断熱材は使用不可

配管の断熱材は「住宅の次世代省エネルギー基準と指針」に基づいて「10㎜厚」と「20㎜厚」を選定する必要がありますが、更にエコキュートの連絡配管は、管1本につき独立した断熱材が付いている事が条件に加わります。省エネ性能を追求したエコキュートでは、往き戻りでの配管同士の熱交換が給湯効率を下げてしまう要因となるからです。

三菱ケミカルインフラテック HC-10HON10B 耐候性なし

三菱ケミカルインフラテック HC-10HON10P 耐候性なし

エコキュートがきっかけで生まれた高対候性被覆

配管カバーを使用しない現場では、必ず「高耐候性被覆付きのHC-10HON10T」のタイプを選定してください。そうすれば、紫外線劣化による断熱性能の低下を防止することができます。

三菱ケミカルインフラテック HC-10HON10T 耐候性あり

マンションなら必須の更新可能被覆さや管+HC-10

HCグレードであっても基本的にはエコキュートとヒートポンプ配管は同時に交換しなくてはいけません。ところが隠蔽配管は更新が容易ではないため、特にマンションでは、「更新可能被覆さや管」を使用する必要があります。

パイプと同じメーカーの継手で

継手については、三菱ケミカルインフラテック社「エクセルイージーフィット2」をお使いください。オンダ製作所の「ダブルロックジョイント」も同じ設計ですが、万が一の事故があった場合、パイプと継手を同一メーカーにしていると対応が早いようです。

三菱ケミカルインフラテック 袋ナットアダプター KJ18-1310C-S

いわゆる「架橋ポリエチレン管の継手」としては内径シールが圧倒的普及していますが、ヒートポンプ配管の場合は外径シールであることも大切な条件。というのも、内径シールの場合、継手部の内径が細くなり流速と流量が変化するためエラーが発生する可能性があるからです。

外径シールと内径シールの違いは、管の「外面」で止水するのか「内面」で止水するかの違いです。これもそれぞれメリット・デメリットがあります。

ヒートポンプ配管に架橋ポリエチレン管を採用するメリット

接続がワンタッチ式で簡単

架橋ポリエチレン管、特に給水給湯用途(JIS)に用いられる継手は、現在その多くが「ワンタッチ式」。誰が施工しても素早く、簡単に、同じ施工品質が担保できるワンタッチ式の継手は架橋ポリエチレン管を採用するメリットの一つです。

オンダ製作所 ダブルロックジョイントより流用

腐食しないので水質に左右されない

架橋ポリエチレン管の主原料はPE(ポリエチレン)樹脂です。樹脂は電気を通さないので、金属系配管材に起こる電食からのピンホールなどが起きません。また、硬度の高い水源では、金属系配管との相性が悪いと腐食や緑青が発生する可能性がありますが、架橋ポリエチレン管は樹脂素材の為、どちらも発生する事はありません。よって、山間部など水質の良い(硬度の高い)エリアでも安心して使用して頂く事が可能です。そして、水道水には必ず含まれる塩素にも、非常に強いという特色があります。

架橋ポリエチレンとは、熱可塑性プラスチックとしての鎖状構造ポリエチレンの分子どうしのところどころを結合させて、立体の網目構造にした超高分子量のポリエチレンをいいます。(架橋ポリエチレン管工業会HPより流用)

軽量で運搬や取り回しが容易

エコキュートを設置するには、どうしても工事車両に配管を積んで現場まで運搬する必要があります。また、マンションなど集合物件での施工では、エレベーターが使用できれば良いですが、何らかの理由で階段を使用しなければならなくなった場合、配管材料が重いと運搬だけで体力を消耗してしまいますよね…。架橋ポリエチレン管は銅管と比較して重量が半分以下のため、運搬や狭小部での取りまわしに非常に威力を発揮します。軽量で運搬や取り回しが容易なことも架橋ポリエチレン管のメリットの一つです。

振動や地震に強い

柔軟性の高い架橋ポリエチレン管は、機器から発生する振動や強風などで起こるあおりや地震などの大きな振動にも比較的強い耐性を持っています。設置環境的に地震や強風が予測される場合は、樹脂系の配管材を選定されることをオススメします。

価格が比較的安価で安定している

日本の銅の取引価格は、ロンドン金属取引所(LME)が公開する取引価格をベースにして、国内銅加工メーカーのロールマージンなどを加えて決まります。要は、国内の需給バランス以外の要素が原価に影響を及ぼすため、価格変動リスクが高いのが銅管。対する架橋ポリエチレン管は、原料価格が安いうえ、製造メーカーが多く競争が激しいという背景があり、比較的安価で流通しています。施工業者様の仕入れ先によって異なるとは思いますが、一般的にはエコキュートのヒートポンプ配管でメートル当たり単価が一番安い管種が架橋ポリエチレン管なのです。

ヒートポンプ配管に架橋ポリエチレン管の採用するデメリット

紫外線に弱い

架橋ポリエチレン管は、紫外線が直接当たる環境では比較的早い時期にひび割れ漏水します。これは架橋ポリエチレン管の中の結合した分子が、紫外線と空気中の酸素によって酸化反応が促進し、架橋が壊れてしまうのが原因です。

屋外で架橋ポリエチレン管を使用する際は、エコキュートのヒートポンプ配管に限らず、必ず紫外線劣化防止処置をしてください。対策としては「高耐候性の被覆保温材が付いた架橋ポリエチレン管」を使用する、「高耐候性のテープ」で保温材を保護する、「スリムダクトなどの化粧カバー」に収納するといった3つの方法があります。特に継手との接続部は断熱材が収縮して数年後に露出しやすい箇所ですので、「継手用の保温材」などでしっかり紫外線防止処置を施してください。

高耐候性の被覆保温材が付いた架橋ポリエチレン管 HC-10HON10-T

高耐候性のテープ EWD-5010

最少曲げ半径が大きい

他の管種が最少曲げ半径50~80㎜なのに対して、架橋ポリエチレン管は150㎜と、狭小部での施工には不向き。タンク下などで小さく曲げなければならない場合は、銅管、アルミ三層管、フッ素系ホースなど他の管種をオススメします。

形状保持能力がない

屋外の露出配管では、時に横引き配管などがたるんでいたり、ウネウネ曲がっていたりする場合があります。気にならない方は良いですが、やはり直線部はピシッと真っ直ぐに、曲り部はきれいな90°で施工して欲しいと思うユーザーさんが殆どではないでしょうか?架橋ポリエチレン管は直線を出せないうえ、90°曲げはエルボを使わないと実現できません。外から見て仕上げをキレイにしたい場合は、配管カバー類を使用するか、アルミ三層管や銅管をオススメします。

流体温度によって伸び縮みする

架橋ポリエチレン管の最大のデメリットは「膨張・収縮が激しい」という所です。エコキュートはお湯を作る時は非常に高温な温水が流れ配管の温度も上がりますが、停止時は温水が冷めるため配管の温度も下がります。それと同じように高温時には架橋ポリエチレン管は伸び、低温時には縮みます。一般的には「線膨張係数」という数値で表しますが、銅管が1.77×10-5⁻に対して、架橋ポリエチレン管は23.0×10-5⁻と非常に伸び縮みしやすいのがわかります。これによって起こる事は、伸縮を繰り返すことによって継手との接続部に断続的にストレスが掛かり漏水のリスクが高まる、伸びた際保温材からパイプが露出してしまい、紫外線が当たる事によって劣化し漏水する、キレイに仕上げたはずなのに配管が伸びてたるんでしまう、などです。

継手が高い

複雑な機構を持つワンタッチタイプの架橋ポリエチレン管用継手は、銅管ロウ付け継手と比較した場合は非常に高価です。しかし、誰でも迅速に安定した品質の施工ができる対価だと考えれば、多くの方に納得していただける価格差かと思います。

まとめ

販売台数の増加につれて、施工のスピードと品質の安定をより求められるようになったヒートポンプ配管。ロウ付けなど熟練技術が必要ない架橋ポリエチレン管が注目されていったのは必然だったのかもしれません。

しかし、架橋ポリエチレン管の選定を誤ると漏水等のクレームに発展するリスクが高まります。機器メーカー各社が認めているパイプは「三菱ケミカルインフラテックのHCグレード」、継手は「エクセルイージーフィット2」でご選定いただければ、万が一の事故にも対応しやすくなります。

ただし、美観と対候性を考慮すると配管カバーが必要ですし、美観はそこそこで良ければ高対候性被覆付きを選ぶことが必要です。

ベストなパーツでは、施工業者様の住宅設備部材に関する小さな疑問やお困りごとの解決のお手伝いをさせて頂きます。

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佐々木 克仁

佐々木 克仁

2001年ベストパーツ株式会社(旧東北綜合器材株式会社)入社。2002年より営業職。分類は設置固定を担当。1976年生まれ。
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