樹脂配管の凍結防止には発熱体から可塑剤が移行しない【NFオートヒーターのGSLタイプ】が最適

給水給湯配管の樹脂化が進んだ代償として、従来型の凍結防止ヒーターが樹脂管に不具合を生じさせる恐れが高まりました。そこで本稿では、発熱体をフッ素でコーティングして配管への可塑剤移行を防ぐ樹脂配管専用の「NFオートヒーター(GSLタイプ)」をご紹介します。

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発熱体をフッ素コーティングしたTOTOKUのGSLシリーズ

凍結防止ヒーターの塩ビに多く含まれる可塑剤が、架橋ポリエチレン管やポリブテン管に移行して劣化を促進させる可塑剤移行のクレームは以前から指摘されていました。対策品として実績が多いのは電熱産業製の「自己制御ヒーターDSRXシリーズ」です。第一世代DSRシリーズ同様全体を覆う金属メッシュが、可塑剤移行を防止するだけでなく樹脂配管でアースにならなくなった水道管になり代わり、雷サージが凍結防止ヒーターを通って給湯器に流れ込むことを防ぎます。しかし、DSRXシリーズの発熱体サイズは7.7mm×4.2mmと太いため、保温材を現場で背割れしたり、1サイズ上の保温チューブを別途手配するなどして保温し直す手間が発生していました。

フッ素コーティングで可塑剤の移行を防ぐ

市場に流通している凍結防止ヒーターのほとんどは、柔軟性を確保するために可塑剤を多く入れた塩ビで絶縁処理した発熱体を採用して配管に巻きつけやすい柔軟性を維持しています。しかし、「NFオートヒーター(GSLタイプ)」は、ヒーターをフッ素コーティングしているので、長期間に渡り樹脂管に接触しても可塑剤が移ることなく脆化しません。さらに耐熱温度も105℃と高温なので様々な温度帯に使用できます。

このようにフッ素コーティングされた自己制御型ヒーターは他にはありません。同じNFオートヒーターの「ESシリーズ」も樹脂配管対応とされていますが、シースが塩ビ製ですから配管に接触しないヒーターガイド管付の樹脂配管にしか使用できませんのでご注意ください。

図1:塩ビ(PVC)で絶縁処理した自己制御式発熱体をフッ素コーティングしています。

細径化された発熱体で保温材への挿入もカンタン

図2:TOTOKU製のGSLヒーター(左)とESヒーター(右)の発熱体サイズを比較するとGSLがひと回り以上細いことが分かる。さらに可塑剤移行を防止する目的で施しているフッ素コーティングで適度な硬さと滑性がある。

「NFオートヒーター(GSLタイプ)」は、ヒーターガイド管の無い「保温材付架橋ポリエチレンパイプ」「ポリブテンパイプ」に最適です。幅5.6mmと細く、厚み3.6mmと薄い発熱体は、フッ素コーティングによる適度な硬さと滑性も手伝って樹脂配管と保温材の間にスルスル押し入れることができます。ただし、樹脂管メーカーによって保温材と樹脂管の隙間寸法が異なる点には注意が必要です。

「NFオートヒーター(GSLタイプ)」取付例

図3:ヒーターガイド管付の樹脂管と一般的な保温材付樹脂管のどちらにも対応できます。

樹脂配管への添え施工の場合は、発熱体を配管に密着させ動かないように粘着テープで固定してください。樹脂配管メーカーは「可塑剤を含むビニールテープが直接樹脂管に接触していると可塑剤が移行し亀裂を生じることがあります。」と注意喚起しているため、基材に塩ビを含まない「ゴリラテープ」等で固定していただけると完璧です。ヒーターガイド管(さや管)が仕込まれている樹脂配管の場合は、ヒーターガイド管に発熱部を末端側から挿入してください。いずれも接続部密封モールド部を保温材から出して配管してください。

自己制御型凍結防止ヒーター 「NFオートヒーター(GSLタイプ)」のラインナップ

自己制御型凍結防止ヒーター「NFオートヒーター(GSLタイプ)」1本から当日出荷可能です。

品番 消費電力(W) 発熱体長さ(m) コード長さ(m)
GSL-0.5 5.8 0.5 1.5
GSL-1 11.5 1.0
GSL-1.5 15.9 1.5
GSL-2 21.2 2.0
GSL-2.5 26.5 2.5
GSL-3 31.8 3.0
GSL-4 42.4 4.0
GSL-5 53.0 5.0
GSL-6 63.6 6.0
GSL-10 106 10.0
GSL-15 159 15.0

自己制御型の「NFオートヒーター(GSLタイプ)」は、添わせた配管や継手の雰囲気温度に応じて必要な箇所だけ加熱します。通電開始時の初期抵抗値が低いため、急な冷え込みでもスピーディーに温度上昇します。配管に沿って発熱体を施工するだけのカンタン装着です。

自己制御型ヒーターには節電コントローラーもかかせません

LB-201の商品画像

「節電コントローラー」(商品コード:LB-201)は1本から当日出荷いたします。

品番 許容電流 動作温度 コンセント口数
LB-201 最大5A 4℃以下でON

7℃以上でOFF

1口

作動していなくても微電流が流れ温度を検知し続ける仕様の自己制御式のヒーターは、凍結の恐れが無い季節には無駄な電気代が発生します。本来、ユーザーが電源コンセントを抜くことになっていますが、それを実行する方ばかりではありません。その点、内蔵のサーモスタットで外気温が5℃になるまで通電を停止する「節電コントローラー」「NFオートヒーター(GSLタイプ)」とコンセントの間に設置すれば、電気代を節約できます。また、ヒータのON/OFF状態を表示する通電確認ランプ(赤)と本体の電源ランプ(緑)付きなので、どなたでも製品の状態を把握することができます。

まとめ

凍結してしまうと解氷作業が難しい樹脂配管には凍結防止ヒーターの設置が欠かせません。しかし、保温材にあらかじめ挿入されている架橋ポリエチレン管やポリブテン管に凍結防止ヒーターを巻き付けることはできません。とはいえ隙間から発熱体を挿入しようとしても、隙間が狭く容易ではありません。仮に挿入できても、設置後しばらくしてから発熱体の可塑剤が樹脂配管に移って脆化させてしまい不具合を生じさせる恐れがあります。よって、ヒーターガイド管の無い「保温材付架橋ポリエチレンパイプ」「ポリブテンパイプ」には、発熱体をフッ素コーティングして可塑剤移行を防ぎ、適度な硬さと滑性を持つ「NFオートヒーター(GSLタイプ)」がオススメです。

※この記事は2021年12月22日に公開した記事ですが、ラインナップを追加して2024年11月22日に再度公開しました。

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