
エコキュート ヒートポンプ配管の選び方【フッ素ホース】
エコるーぷを使って一歩進んだヒートポンプ配管
エコキュートは従来の給湯機と比較し高温で沸き上げるため、銅管は耐食性がない、架橋ポリエチレン管は対候性がない、アルミ三層管は耐熱性に余裕がないなど、耐久性に難があり、品質保証がされてきませんでした。しかし、年々エコキュートの普及率が上昇しており、首都圏では集合住宅においても採用されています。そのため、今では施工性に加えて品質保証を求める施工業者様が増えています。
安心の10年品質保証
ヒートポンプ配管で重要なのはやはり耐久性。耐久性は耐熱性や線膨張係数が重要なポイントとなります。他の管種では設置後数年で漏水してもメーカー保証はありませんが、エコるーぷは10年のメーカー品質保証が付いている為、安心して引き渡すことができます。
最高使用温度100℃と余裕がある設計
エコキュートの沸き上げ温度は90℃~95℃ですので、通常の使用条件では銅管でも架橋ポリエチレン管でもアルミ三層管でも問題ありませんが、フッ素樹脂系ホースは最高使用温度100℃となっておりますので万が一エコキュート側で異常高温が出た場合でも急激に脆化することがありません。
接続部に負荷がかからない程度の線膨張係数
エコるーぷの線膨張係数は1.0×10-4と銅管の1.77×10⁻5よりも小さいため、熱による膨張・収縮がほぼ発生しないと言えます。そのため、架橋ポリエチレン管と比較して継手との接続部にかかるストレスが少なく経年による劣化速度を格段に遅くできます。また、配管の熱収縮によるスレ音や露出の横引き配管で垂れ下がってしまう美観などといった品質以外のクレームも抑止できます。
圧倒的な施工性
施工性を左右するのは可とう性と配管重量。エコるーぷの曲げ半径は10Aで最少曲げ半径50㎜と架橋ポリエチレン管の最小曲げ半径150㎜はもちろん、アルミ三層管の最少曲げ半径60㎜と比較しても圧倒的に柔軟性に富むので、狭小部での配管取りまわしや隠ぺい部での配管、さらには集合住宅での更新可能被覆さや管への挿入や、将来的な配管更新の際の引き抜きにも非常にメリットがあります。
ただし、エコるーぷの単位重量が0.102kg/mなのに対して、アルミ三層管が0.116kg/m、架橋ポリエチレン管が0.068kg/mという具合に、運搬性は架橋ポリエチレン管に軍配が上がります。※パイプ径10A、断熱材10㎜厚で比較
エコるーぷはコストが難点
パイプのコスト面では、フッ素樹脂系ホースならではの弱点があります。保温材付の銅管、架橋ポリエチレン管、アルミ三層管は市場価格でおおよそ¥500/m程度ですが、エコるーぷは¥1,000/m以上。このコスト構造が普及を阻害している要因の一つですが、原材料費を考えるとむしろ割安な状態なのかもしれません。
フッ素樹脂系ホースのメーカー比較
2019年11月現在、エコキュート用途でフッ素ホースを製品化しているのは、株式会社ブリヂストン、株式会社オンダ製作所、そして株式会社カクダイの3社。各社の違いはどんなところなのでしょうか?
同じフッ素系樹脂ホースと言えども大きく異なる施工性

オンダ製作所 フッ素樹脂FEPパイプ

カクダイ エコくるっと
メーカー | 商品名 | 材質 | 最高使用圧力 | 使用温度 | 最少曲げ半径 |
ブリヂストン | エコるーぷ | フッ素樹脂 | 1.0MPa | 0~100℃ | 50㎜ |
オンダ製作所 | FEPパイプ | フッ素樹脂 | 1.0MPa | 0~100℃ | 150㎜ |
カクダイ | エコくるっと | フッ素樹脂 | 1.0MPa | 1~95℃ | 50㎜ |
各社、最高使用圧力は同じ1.0MPaです。使用温度こそ若干違いますが、高温に強いフッ素ですので特に大きな差はないと考えます。しかし、最少曲げ半径が2社で50㎜に対して1社が150㎜と異なります。最少曲げ半径が小さければ小さいほどタンク下などの狭小部での配管取りまわしに威力を発揮することから、性能面では最高使用温度100℃で最少曲げ半径50㎜のブリヂストン「エコるーぷ」に軍配が上がります。
製品仕様も相当違う
メーカー | 商品名 | 色 | 保温材 | 継手形式 | 定価 |
ブリヂストン | エコるーぷ | 黒 | 10㎜ | メカニカル式 | ¥2,750/m |
オンダ製作所 | FEPパイプ | 透明 | 10㎜/20㎜ | ワンタッチ式 | ¥5,600/m |
カクダイ | エコくるっと | グレー | 10㎜ | タケノコ式 | ¥2,900/m |
ブリヂストンとカクダイは着色していますが、オンダはほぼ架橋ポリエチレン管と変わらない外観。どれも管自体に耐候性を持たせてあります。もっとも異なるのが継手形式で、各社の考え方が反映された構造になっています。

オンダ製作所 FEPパイプ用の継手は信頼のダブルロックジョイントの技術を応用

カクダイのエコくるっと用継手。タケノコ式の為製品単価は下がるが、耐圧性能もメカニカル式やワンタッチ式と比較するとやや落ちる。
施工品質の安定化の面から「メカニカル式」を採用するブリヂストン。継手メーカーであるオンダ製作所は、架橋ポリエチレン管で実績があるダブルロック式を採用しています。カクダイはコスト重視を狙ったものと思われます。
また、パイプの価格は、他の管種と比較するとどれも高価ですが、中ではブリヂストンが若干価格競争力に優ると言えます。
製品保証も各社で異なる
メーカー | 商品名 | 製品保証 |
ブリヂストン | エコるーぷ | 10年 |
オンダ製作所 | FEPパイプ | 10年 |
カクダイ | エコくるっと | 無保証 |
他の管種と比較して、最も強みと言える点が「製品保証」。銅管も、架橋ポリエチレン管も、アルミ三層管も基本的には全て「無保証」ですが、ブリヂストンとオンダ製作所の2社は条件があるものの「10年」という長期保証が付いています。
まとめ
現在の主流は「アルミ三層管」ですが、それも含めて従来の管種の欠点をすべて解消したのが「フッ素樹脂系ホース」。10年の製品保証が付き、柔軟性が高く施工がラクで、長期に渡って安心して使用できるため、全ての方にメリットがある配管材と言えます。問題は価格が他の管種と比較して高い点ですが、性能や付加価値を考えると検討する価値があります。中でも、最もオススメしたいのはトータルバランスに優れたブリヂストンの「エコるーぷ」です。ご興味のある方はぜひ一度お使いいただきたいと思います。
ベストなパーツでは、施工業者様の住宅設備部材に関わる小さな疑問やお困りごとの解決のお手伝いをさせて頂きます。

佐々木 克仁

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