
2階・3階でも快適!給湯の水圧不足を解決する『給湯加圧ポンプ』の選び方
給湯加圧ポンプの選定前に押さえておきたい基礎知識
「給湯加圧ポンプ」は、給湯器から送られてくるお湯の圧力を上げ、低い場所から高い場所へ、あるいは出湯箇所まで距離がある場所へ、適切に送り出す役割を持つ設備です。
配管内の流体の流れを検知して自動で運転、停止を行います。しかし、このポンプを効果的に機能させるためには、現場の状況に合わせた適切な機種選定が不可欠です。まずは、ポンプ選定の基礎となる重要なポイントを見ていきましょう。
ポンプ選定の鍵!『必要流量』と『揚程』の考え方
給湯加圧ポンプを選ぶ際の最も重要な要素は、「流量(揚水量Q)」と「揚程(全揚程H)」です。
- 流量(Q):単位時間あたりにどのくらいの水量を送り出せるかを示す値(例:L/min)。
- 揚程(H):水柱換算でどのくらいの高さのエネルギー(圧力)を持ってお湯を送り出せるかを示す値(例:m)。
ポンプには、この「流量」と「揚程」の関係を示した曲線図があり、この曲線図を見ながら、給湯設備が求める能力を満たせるかを確認します。
設備が要求する流量と圧力の目安
「給湯加圧ポンプ」に限らず、ポンプを選定する際には、出湯箇所で適切な「必要流量」と「揚程」が得られる必要があります。快適な給湯のための数値(目安)は以下の通りです。
出湯箇所 | 流量の目安 | 圧力の目安 |
蛇口(台所・洗面など) | 約16L/min | 0.2±0.1 Mpa程度 |
シャワー(浴室) | 約13L/min |
配管の長さや曲がり、設置階数といった現場状況を考慮し、上記の値を満たすために最適な能力を持ったポンプを選定することが重要です。
作動スイッチの違いで見るポンプの役割
「給湯加圧ポンプ」には「圧力スイッチ」と「流量スイッチ」が組み込まれています。「圧力スイッチ」は配管内の圧力が低下したことを検知してポンプを運転させます。「流量スイッチ」は蛇口を開けて水が流れるのを検知するとポンプを運転させるスイッチです。
1. 圧力・流量スイッチ併用式ポンプ:圧力スイッチと流量スイッチの両方を組み合わせています。
制御:運転と停止の制御をより正確に行い、必要な時だけ運転させます。
メリット:無駄なエネルギー消費を抑えることができ、省エネ性に優れています。
2. 流量スイッチ式ポンプ:本体に流量スイッチのみが内蔵されています。
制御:水が流れている間(蛇口を開けている間)、運転を継続します。
メリット:安定した出湯圧力で使用し続けることができます。
現場の状況やお湯の使い方、省エネ意識によって、どちらのタイプが最適かが変わってきます。
以上を踏まえた上で、こちらの記事「給湯厚不足を解決する『給湯過圧ポンプ』選定チャート」でご紹介しているフローチャートに沿ってポンプ選定を進めていけば、どの「給湯加圧ポンプ」が意図どおりに機能を発揮できるのかが明確になります。ぜひご参照ください!
【三相電機製】給湯加圧ポンプ商品一覧
給湯加圧ポンプ(圧力スイッチ・流量スイッチ併用式)
商品コード | 口径 | 周波数
(Hz) |
消費電力(W) | 流量スイッチ 作動流量(L/min) |
圧力スイッチ 設定圧(kPa) |
SHC-1031B2 | Rp3/4 | 50・60兼用 | 110 | ON:1.5/OFF:1.3 | 90~100 |
SHC-1511B2 | 150 | 低:120~140 高:190~210 |
|||
SHC-2021A2 | Rp3/4 | 50 | 360 | ON:1.5/OFF:1.3 |
150~180 |
SHC-2021B2 | 60 | 301 | |||
SHC-2521A | Rp1”1/4 | 50 | 330 | ON:3.0/OFF:2.7 |
70~100 |
SHC-2521B | 60 | 305 |
SHC-1511B2は当日出荷可能です。背景が水色の商品は最短で翌日出荷が可能です。
給湯加圧ポンプ(流量スイッチ式)
商品コード | 口径 | 周波数
(Hz) |
消費電力(W) | 流量スイッチ 作動流量(L/min) |
圧力スイッチ 設定圧(kPa) |
SHB-2021A2 | Rp3/4 | 50 | 360 |
ON:1.5/OFF:1.3 |
なし |
SHB-2021B2 | 60 | 301 | |||
SHB-2521A | Rp1”1/4 | 50 | 330 |
ON:3.0/OFF:2.7 |
|
SHB-2521B | 60 | 305 |
SHB-2021・2521はメカニカルシールタイプです。
まとめ
近年では、エコキュートでも高圧タイプが主流になっていますが、もともと水道直圧式(ガス給湯器など)を使っていたユーザーが切り替えた場合、給湯圧が弱くなったと感じることがあり、これが不満に繋がる場合があります。
「給湯加圧ポンプ」は、こうした給湯圧の不足を解消し、快適なシャワーやキッチンでの利用を可能にします。
ポンプを選定する際は、現場の状況を考慮し、必要な流量や揚程を事前に確認することが重要です。最適な給湯加圧ポンプを選ぶことで水圧を安定させ、快適で効率的な水の供給をユーザーの生活にサポートしましょう。
※2022年6月8日に初めて公開された記事を校正し、2025年9月30日に再度公開しました。

佐藤 陽子

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