
樹脂製循環金具の不安を解消してコストダウンを実現
コストダウンに必須!強度面も扱い方次第でカバー可能
強度面での不安は、施工時の扱い方で解消できることもあります。例えば、Gねじの締付トルクを樹脂製なら20N・m(約200kgf/cm)にするとか、テーパーネジと組み合わせないなど。施工業者様の中には、「長年使用するので耐久性が問題だ」、「凍結したら壊れるだろう」というご不安をお持ちの方がいらっしゃいますが、材料を比較すると、長期性能では同等と考えて差し支えがなく施工時のちょっとした注意だけでコストダウンが実現できることがご理解いただけるのではないでしょうか?
材料の特性を比較
具体的に、樹脂製と金属製の循環金具のボディに使用している材料を比較します。
樹脂製の循環金具のボディに採用しているPPSとは
PPS(ポリフェニレンサルファイド)とは、熱可塑性樹脂でスーパーエンプラといわれる高性能エンジニアリングプラスチックです。耐熱性・耐薬品性に優れガラス繊維を入れることにより高い強度を有します。
金属製の循環管具のボディに採用している黄銅とは
銅と亜鉛の合金で、展延性、熱間鍛造性、導電性、耐食性が高く、金属として適度な硬度を持っていながら加工がしやすいという特性を持ちます。
樹脂製は衝撃性と機械的強度に劣るが設置後に違いはない
下表をご覧ください。PPSは、黄銅に対してコストダウンと軽量化に強みがあるものの、衝撃や応力に脆いといえます。しかし、考えてみると循環金具に衝撃や応力が加わることは施工時しかありません。ですから、施工時に少し扱い方に注意すれば、PPSと黄銅は共に十分な物性を有するといえます。
比較項目 | PPS | 黄銅 | 見解 |
材料費 | 〇 | ✕ | PPSは金属と比べ比重が小さく重量が軽くなる為材料費を抑えられます。材料が少ない分、価格変動も小さくなります。 |
機械的強度 | △ | 〇 | PPSは他の樹脂と比べ強度はありますが、黄銅よりは劣ります。 |
耐熱性 | △ | 〇 | PPSは-20℃~220℃の広範囲で使用できます。 |
耐薬品性 | 〇 | △ | 黄銅は腐食に対してPPSより劣ります。 |
比重 | 〇 | ✕ | PPSは比重が小さく、製品取り扱い、運搬が容易です。 |
寸法安定性 | 〇 | 〇 | どちらも経年による変化は少なく、長期間安定しています。 |
衝撃性 | ✕ | 〇 | PPSは高いところから落下させた場合の衝撃性には弱い物性を持ちます。 |
製品のコストを比較
前項ではそれぞれの物性を比較しましたが、続いてコストを比較してみましょう。L型の循環金具と全長20mのハイブリッドホース(15A)を5m使用した場合で比較します。
PPS材料で揃えた場合のコストシミュレーション
循環金具は樹脂製、配管はハイブリッドホース、継手は樹脂と金属のハイブリッドを使用した場合の基準価格の合計金額は、「SKJ-21LP¥2,350 + BJH-420(5m)¥6,325 + BJH-4TJ¥660 = ¥9,335」です。
循環金具
品番 | 接続口 | 基準価格 |
SKJ-21LP | G1/2 | ¥2,350 |
配管
ここでは5mを使用した場合の価格にしていますが、ハイブリッドホースなどをカット販売はしておりません。
品番 | 使用m数 | 基準価格/5m |
BJH-420 | 5m | ¥6,325 |
継手
品番 | 接続口 | 基準価格 |
BJH-4TJ | G1/2x15Aホースエンド | ¥660 |
黄銅材料で揃えた場合のコストシミュレーション
循環金具は金属製、配管はハイブリッドホース、継手は金属製を使用した場合の基準価格の合計金額は、「SKJ-21L¥3,630 + BJH-420(5m)¥6,325 + BJH-4TJ¥730 = ¥10,685」です。
循環金具
品番 | 接続口 | 基準価格 |
SKJ-21L | R1/2 | ¥3,630 |
※本品のRネジはGネジにも接続できます。
配管
品番 | 使用m数 | 基準価格/5m |
BJH-420 | 5m | ¥6,325 |
継手
品番 | 接続口 | 基準価格 |
BJH-4T | G1/2x15Aホースエンド | ¥730 |
まとめ
追い焚きの循環金具と継手の材料には、PPS樹脂と黄銅の2種類あります。それぞれ材料特性に違いはありますが、どちらも追い焚き配管としては十分な性能を有しています。特に、施工業者様が気にされている長期使用に対する耐久性や凍結割れに対する強度に差はありません。施工時に、商品を手元から落とさないようにする、ねじの締付トルクを20N・m(約200kgf/cm)にする、テーパーネジと組み合わせないという3点だけ気を付けていただければ1割以上のコストダウン効果が得られます。金属材料の上昇傾向が続くことが見込まれる今、安全に切替えを行える樹脂製循環金具をオススメいたします。

室橋尚哉

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