
最適な追い焚き配管の種類と選び方
2020年8月25日に公開した記事ですが、内容と製品価格を修正し2022年8月4日に再公開しました。
場面によって最適な追い焚き配管の種類が違う
在庫管理や施工品質平準化の観点から、追い焚き配管の種類を1つに絞ることも間違いではありません。一方で、新築とリフォーム、戸建とマンションといった建築の区分や用途、ガス、電気、石油などの熱源の種類など、シチュエーションによって最適な配管種も変わってくることはご存じでしょうか?施工性やコストなども考慮に入れながら、最適な追い焚き配管を選びましょう。
追い焚き配管の管種と選定のポイント
現在使用されている追い焚き配管は、「ゴムやPVCなどのホース系」「架橋ポリエチレンパイプなどの樹脂管系」「銅管などの金属管系」の3つに分けられます。その中でも、接続のしやすさや取り回しの良さなどから人気の高い「ゴムやPVCなどのホース系」と単位当たり単価が最も低い「架橋ポリエチレンパイプなどの樹脂管系」にフォーカスして、それぞれのメリットや選定のポイントについてご説明していきます。
軽量で施工性抜群のスマートホース10A
樹脂(PVC)製の「スマートホース10A(品番:SMH-320)」は、架橋ポリエチレンパイプと比較して圧倒的に柔軟な点と、ハイブリッドホースよりも軽量で取り回しがラクな点がメリットです。コスト面でも¥600/mと競争力があるため、新築のアパート物件など、10世帯程度で工期が短くあまりコストがかけられない現場にオススメです。
ちなみに、同じスマートホースでも内径13㎜のタイプ「スマートホース15A(品番:SMH-420)」は、13A配管を推奨している石油給湯器にもお使いいただけます。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 使用圧力 | 基準価格 |
SMH-320 | 20m | 16.0㎜ | 10.0㎜ | R100 | 0℃~80℃ | 0.3MPa以下 | ¥12,000 |
SMH-310 | 10m | 16.0㎜ | 10.0㎜ | R100 | 0℃~80℃ | 0.3MPa以下 | ¥7,720 |
SMH-420 | 20m | 22.0㎜ | 13.0㎜ | R120 | 0℃~80℃ | 0.3MPa以下 | ¥14,350 |
SMH-410 | 10m | 22.0㎜ | 13.0㎜ | R120 | 0℃~80℃ | 0.3MPa以下 | ¥8,910 |
高い信頼性と優れた施工性のハイブリッドホース
1998年の発売以来、ほとんどの給湯器メーカーが純正採用している「ハイブリッドホース(品番:BJH-420)」は、その柔軟さとタケノコ式という接続のしやすさから、一般戸建住宅を中心に長年親しまれている追い焚き専用のホースです。内層が特殊EPDMゴムでできており、使用温度範囲が0℃~90℃までと余裕があるため、出湯温度が80℃を超えるような高温さし湯式給湯器にも使用可能です。柔軟性も高く、耐水性、耐オゾン性、耐候性、電気絶縁性に優れ、物性的に安定しているので、水回りでの利用が伸びているゴムですが、石油の副産物から合成されるゴムのため原油価格の影響を受けやすく、現在¥1,265/mにもなるためPVCに置き替えを進める業者様も増えています。それでも、長期間使用する可能性が高く、次回の給湯器交換でどんなタイプが入るかわからない一般戸建住宅にはオススメです。ただし、エコキュートに限っては、追い焚き配管の伸縮や振動によりエラーが出る恐れがあるため、柔軟性が高いホース系の配管材料は避けた方が無難です。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 使用圧力 | 基準価格 |
BJH-420 | 20m | 23.0㎜ | 13.0㎜ | R120 | 0℃~90℃ | 0.3MPa以下 | ¥25,300 |
ラインナップ充実の架橋ポリエチレンパイプ
新築戸建からマンション改修まで、架橋ポリエチレンパイプなら豊富なラインナップでどんな現場にも対応することができます。接続もソフトタイプの架橋ポリエチレンパイプであればタケノコ式の継手が使えるので、トータルで見ればコスパにも優れています。関連のユニットバス貫通部材や壁貫通部材、更にはワンタッチ式の循環金具など、使える周辺部材も非常に充実しているのも大きなメリットです。ただし、曲げ半径が大きく(R150以上)巻きグセも強いため、ひとりでは取り回せない点に注意が必要です。よって、先行配管が可能な新築現場や、関連部材の使い方に精通した職人の方にオススメします。
ガス熱源機での追い焚き配管なら「高断熱ペアチューブ(品番:UPT-10N-I)」
高気密・高断熱住宅にも対応する、往き戻り2本のパイプを1本の断熱材で包んだ架橋ポリエチレンパイプ「高断熱エクセルパイプコア(品番:UPT-10N-I)」です。断熱材付きタイプでは外径がφ45.5と最も小さく、基礎もしくは壁貫通穴径が小さくできることがメリットです。新築戸建のガス熱源機採用住宅では、現在このタイプの採用が劇的に増えています。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 断熱材厚み | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 使用圧力 | 基準価格 |
UPT-10N-I | 50m | 13.0㎜ | 10.0㎜ | 8㎜ | R150 | 0℃~80℃ | 0.25MPa以下 | ¥30,300 |
エコキュートの追い焚き配管には「エクセルペアチューブ 保温材付(品番:XLS-13HON10W)」
エコキュートの追い焚き配管は、メーカー各社で往き戻りの熱交換が発生しない形状の13Aの「エクセルペアチューブ保温材付(品番:XLS-13HON10W)」を推奨しています。給湯器がエコキュートの場合、追い焚き配管はこちらをご選定ください。継手は13Aのタイプにも拘らず、ワンタッチタイプのほかにタケノコ式が用意されているのがポイントです。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 断熱材厚み | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 使用圧力 | 基準価格 |
XLS-13HON10W | 25m | 17㎜ | 13㎜ | 10㎜ | R150 | 0~80℃ | 0.25MPa以下 | ¥22,300 |
XLS-10HON10W | 25m | 13㎜ | 10㎜ | 10㎜ | R150 | 0~80℃ | 0.25MPa以下 | ¥20,300 |
まとめ
数ある追い焚き配管の中で最適な商品を選定するポイントは、現場の状況によって変わります。アパートなど短時間でコストを掛けずに行う場合は、PVC製の「スマートホース10A(品番:SMH-320)」を、戸建の入替や出湯温度80℃以上の機種を選定した場合は、特殊EPDM製の「ハイブリッドホース(品番:BJH-420)」を、新築の戸建て住宅の場合は架橋ポリエチレン製のパイプに高気密・高断熱に対応した断熱材を施した「高断熱エクセルパイプコア(品番:UPT-10N-I)」という具合に使い分けることをオススメします。なお、エコキュートに限っては、振動の影響を受けにくく往きと戻りの間で熱交換が発生しない「エクセルペアチューブ保温材付(品番:XLS-13HON10W)」が最適です。

佐々木 克仁

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