ガスフレキ用継手の2大メーカーである桑名金属工業（旧日立金属）と日本継手（旧：JFE継手）。両社は長年の高品質なものづくりを受け継ぎ、これまでの継手仕様を継続しています。この記事では、プッシュインパクトとネオジョイントの特徴と利点を比較し、適切な選択をサポートします。

ガスフレキ用継手の規格と適合性

ガスフレキ管の規格は、都市ガスとLPガスでそれぞれ異なり、日本ガス協会と高圧ガス保安協会が指定しています。しかし、大多数のガスフレキ管と継手は、異なるメーカー間でも組み合わせて使用することができます。ただし、施工方法はメーカーごとに異なるため、注意が必要です。

施工方法の違い

桑名金属工業（旧日立金属）製のプッシュインパクトと日本継手（旧：JFE継手）製のネオジョイントは、その施工方法にいくつかの違いがあります。

プッシュインパクトの施工は、比較的シンプルに行えます。ガスフレキ管の被覆を12山程度剥離した後、7山を残してフレキカッタ―で切断します。その後、特定のマーキングを行わずにガスフレキ管を挿入します。挿入時には「コツン」という感触が得られるまで、管をまっすぐに押し込む必要があります。最終的に、ガスフレキ管を引っ張ると「カチッ」という感触が得られ、インジケーターが現れて施工完了が確認できます。

一方、日本継手製のネオジョイントの施工は、感触での挿入完了の知らせる機構が搭載されていないため、少し異なります。ガスフレキ管の挿入位置をあらかじめネオジョイントマーカーを使用してマーキングする必要があります。マーキングが見えることで、施工者は自身の施工に確信を持つことができます。

シール位置とその特性

シールの方法や位置についても、桑名金属工業（旧日立金属）製のプッシュインパクトと日本継手（旧：JFE継手）製のネオジョイントの間で顕著な違いが見受けられます。具体的には、日本継手製の「ネオジョイント」はガスフレキ管の谷部分でシールを行います。一方、桑名金属工業製の「プッシュインパクト」は、ガスフレキ管の山部分でシールを実施します。

フレキ形状のパイプに関して言えば、谷シール方式の方が山シール方式に比べて封止性が高いと一般的に考えられています。これは、谷部分（凹部）と比較して山部分（凸部）は、へこみや傷がつきやすいためです。しかしながら、この点を補完するために、プッシュインパクトは継手内にスプリング機構を搭載しています。このスプリング機構の役割は、ガスフレキ管とパッキンの面圧を維持すること。この仕組みによって、経年にわたってパッキンの面圧が減少しても、長期的にシール性を維持することができるのです。

原管切断時の山数

施工者が注意を要するのは、桑名金属工業（旧日立金属）製のプッシュインパクトと日本継手（旧：JFE継手）製のネオジョイントの間で被覆を剥離した後に残す原管の山数が異なる点です。具体的には、「プッシュインパクト」の場合、7山（6・7山兼用）を残して切断します。一方、「ネオジョイント」は8山を残して谷部を切断する仕様となっています。どちらの方法が優れているわけではありませんが、山数を誤るリスクがあるため、同じ現場での混在使用は避けるのが良いとされています。

製品ラインナップ

桑名金属工業（旧日立金属）のプッシュインパクト

片ねじソケット

品番	ガス種	ガスフレキ	ねじ	L(mm)	六角対辺
FIS-1015	都市ガス	10A	R1/2	59	24
FIS-1515		15A		65	29
FIS-2015		20A		71	35
FIS-2020			R3/4	72
FIS-2520		25A		86	41
FIS-2525			R1	89
FIS-1015L	LPガス	10A	R1/2	59	24
FIS-1515L		15A		65	29
FIS-2020L		20A	R3/4	72	35
FIS-2520L		25A		86	41
FIS-2525L			R1	89

両メカソケット

品番	ガス種	ガスフレキ	L(mm)
FIW-10	都市ガス	10A×10A	94
FIW-15		15A×15A	97
FIW-20		20A×20A	107
FIW-25		25A×25A	134
FIRW-2025		20A×25A	124
FIW-10L	LPガス	10A×10A	94
FIW-15L		15A×15A	97
FIW-20L		20A×20A	107
FIW-25L		25A×25A	134

めねじソケット

品番	ガス種	ガスフレキ	ねじ	L(mm)	六角対辺
FIFS-1015	都市ガス	10A	Rc1/2	67	24
FIFS-1515		15A		69	29
FIFS-2015		20A		72
FIFS-1015L	LPガス	10A	Rc1/2	67	24
FIFS-1515L		15A		69	29
FIFS-2015L		20A		72

片ねじエルボ

品番	ガス種	ガスフレキ	ねじ	L(mm)	H(mm)
FIL-1015	都市ガス	10A	R1/2	58	44
FIL-1515		15A		65	47
FIL-1015L	LPガス	10A	R1/2	58	44
FIL-1515L		15A		65	47

分岐チーズ

品番	ガス種	A	B	C	L1	L2
FIT-101010	都市ガス	10A	10A	10A	110	55
FIT-151510		15A	15A	10A	117	55
FIT-151515		15A	15A	15A	117	59
FIT-202010		20A	20A	10A	122	60
FIT-202015		20A	20A	15A	134	59
FIT-202020		20A	20A	20A	134	67
FIT-252510		25A	25A	10A	151	63
FIT-252515		25A	25A	15A	152	66
FIT-252520		25A	25A	20A	161	70
FIT-101010L	ＬＰガス	10A	10A	10A	110	55
FIT-101015L		10A	10A	15A	110	59
FIT-151010L		15A	10A	10A	114	55
FIT-151510L		15A	15A	10A	117	55
FIT-151515L		15A	15A	15A	117	59
FIT-201010L		20A	10A	10A	118	58
FIT-201020L		20A	10A	20A	124	67
FIT-201515L		20A	15A	15A	126	59
FIT-202010L		20A	20A	10A	122	60
FIT-202015L		20A	20A	15A	134	59
FIT-202020L		20A	20A	20A	134	67
FIT-252010L		25A	20A	10A	137	63
FIT-252510L		25A	25A	10A	151	63
FIT-252020L		25A	20A	20A	144	70
FIT-252520L		25A	25A	20A	161	70

日本継手（旧：JFE継手）のネオジョイント

片ねじソケット

品番	ガス種	ガスフレキ	ねじ	L(mm)	六角対辺
NFP-1015L	LPガス	10A	R1/2	56.5	23
NFP-1515L		15A		61.2	26
NFP-2020L		20A	R3/4	66.3	33
NFP-2520L		25A		86.5	40
NFP-2525L			R1	88.5

めねじソケット

品番	ガス種	ガスフレキ	ねじ	L(mm)	六角対辺
NFFP-1015L	LPガス	10A	Rc1/2	57.6	26
NFFP-1515L		15A		61.2	27
NFFP-2015L		20A		68.3	33

片ねじエルボ

品番	ガス種	ガスフレキ	ねじ	L(mm)	H(mm)
NLFP-1015L	LPガス	10A	R1/2	51.3	43.5
NLFP-1515L		15A		52.9

両メカソケット

品番	ガス種	ガスフレキ	L(mm)
NWFP-10L	LPガス	10A×10A	82.2
NWFP-15L		15A×15A	89.4
NWFP-20L		20A×20A	97.8
NWFP-25L		25A×25A	134

分岐チーズ

品番	ガス種	A	B	C	L1(mm)	L2(mm)
NTFP-101010L	LPガス	10A	10A	10A	108.4	54.2
NTFP-101015L		10A	10A	15A	104.8	55.6
NTFP-151010L		15A	10A	10A	104.8	55.6
NTFP-151510L		15A	15A	10A	106.4	55.6
NTFP-151515L		15A	15A	15A	106.4	57.2
NTFP-201515L		20A	15A	15A	119.0	62.9
NTFP-202010L		20A	20A	10A	119.8	61.3
NTFP-202015L		20A	20A	15A	119.8	62.9
NTFP-202020L		20A	20A	20A	119.8	63.7
NTFP-252020L		25A	20A	20A	151.8	67.2
NTFP-252520L		25A	25A	20A	155.6	67.2

ネオジョイントマーキングツール

品　番	適　合
NFT-29	ネオジョイント

まとめ

本記事では、ガスフレキ用継手の2大メーカーである桑名金属工業（旧日立金属）と日本継手（旧：JFE継手）の製品、プッシュインパクトとネオジョイントの特徴や利点を詳細に掘り下げています。施工方法、シール位置、原管切断時の山数という具体的なポイントでの違いを中心に解説しました。そして、結論として、プッシュインパクト機構が内蔵している「可とう管ガス栓」または機器接続ガス栓を使用する場合、桑名金属工業の製品に統一することで、施工ミスを抑制する効果が期待できることを提案します。

※この記事は2023年3月30日に公開した記事ですが、再度校正し2025年8月7日に再公開しました。