仕事の多い空調業者は冷媒管を通す貫通孔に合わせたパテを使い分けて埋めている
※この記事は2020年6月24日に公開したものですが、校正し直し2022年3月29日に再公開しました。
不燃材、延焼防止機能、高粘着難燃パテを使い分ける
本稿では、一般的な「エアコン用シールパテ」より高度な特殊機能を持ったパテをご紹介します。
不燃材指定があれば「耐火パテ硬化型不燃タイプ(品番:KF-P)」
品番 | 容量 | 色 |
KF-P | 650g | ライトグレー |
「耐火パテ硬化型不燃タイプ(品番:KF-P)」は、国土交通大臣認定の不燃材料パテですので、防火上、不燃材料で規定されている部位の処理がカンタンに行えます。硬化型の為、施工硬化後にパテが変形することがなく、施工時の形状を保持します。低比重の為、施工性に優れており、壁や床などの目地材や隙間埋め材としても使用できます。
〇「耐火パテ硬化型不燃タイプ(品番:KF-P)」の仕様
項目 | 規格 |
材 質 | 無機系 |
性 状 | 硬化型不燃タイプ |
内容量 | 650g |
色 調 | ライトグレー |
比 重 | 1.3 |
作業温度範囲 | 5℃~40℃ |
使用温度範囲 | -20℃~60℃ |
延焼防止に優れた非硬化型「延焼防止パテ(品番:TP-160)」
品番 | 容量 | 色 |
TP-160 | 160g | グレー |
万が一の火災時、配管やケーブルの被覆が導火線のようになり失火します。「延焼防止パテ(品番:TP-160)」なら、火災の熱でパテが20倍に膨らみ隙間をしっかり塞いで、火が隣接する部屋や隣の家に燃え広がる現象を抑えます。その能力は、国土交通省所管の公的試験機関における屋外からの失火を想定した試験で、耐火壁にて1時間の延焼防止能力が確認されています。ただし、その性能を発揮させるためには、使用量の目安であるΦ70以下に対して1袋(160g)を遵守する必要がある点と、国土交通省の不燃認定は受けていない点には注意が必要です。
〇「延焼防止パテ(品番:TP-160)」の仕様
項目 | 規格 |
材 質 | ポリブデン樹脂系 |
性 状 | 不乾性(非硬化型) |
内容量 | 160g |
色 調 | グレー |
比 重 | 1.8 |
作業温度範囲 | 5℃~40℃ |
使用温度範囲 | -20℃~50℃ |
脱落しにくい「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」
品番 | 容量 | 色 |
IPH | 750g | グレー |
一般的なエアコン配管用パテでは脱落する恐れがある設置状況の箇所にオススメしているのが粘着性に優れた「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」。一般的に床や天井の開口部はもちろん、壁であってもコンプレッサー等の振動にさらされる冷媒配管は、パテが脱落する恐れがあります。しかし「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」なら、施工業者様に好まれる非硬化型パテでありながら密着性を高め脱落を防ぐことができるのです。エアコンなどの設備入替えに伴う配管やケーブルの再貫通が予測され、かつ脱落の恐れがある開口部にお使いください。ただし、難燃剤入りですが防火区画には使用できない点に注意が必要です。
一般的に、非硬化型とはいえ低温環境下でも硬くならないわけではありません。メーカーの仕様書には使用温度-20℃~60℃、作業温度5℃~と記載があるものの、肌感覚では気温が10℃以下だと手練り前に温めた方が楽に施工できると感じます。また、比重が1.5と少し重いのは難燃材入りの非硬化型のパテの弱点です。
〇「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」の仕様
項目 | 規格 |
材 質 | ポリブデン樹脂系 |
性 状 | 不乾性(非硬化型) |
内容量 | 750g |
色 調 | グレー |
比 重 | 1.5 |
作業温度範囲 | 5℃~40℃ |
使用温度範囲 | -20℃~60℃ |
まとめ
一口にエアコン配管用パテといっても、様々な用途に応じた機能を持ったバリエーションがあります。不燃処理が必要な現場は「耐火パテ硬化型不燃タイプ(品番:KF-P)」、不燃指定はないものの延焼の恐れがある現場には「延焼防止パテ(品番:TP-160)」、一般的な難燃レベルでいい環境でも脱落の恐れがある開口部には粘着力に優る「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」という具合に使い分けてください。
室橋尚哉
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