
1万円台から始める。温水暖房用の「連結ヘッダー組662」
※2019年8月20日に公開した記事を、校正し直し2021年8月25日に再公開しました。
連結ヘッダー組662は安価で多機能!
CALEFFI(カレッフィ)社がアジア市場に向けて開発した温水暖房用の「連結ヘッダー組662」。もちろん予算が見合えば、流量計、バイパス管、温度計測口、エアベントなどがあらかじめセットされている「ヘッダーセット668」を使うのがオススメですが、逆の場合は「連結ヘッダー組662」で検討してください。「ヘッダーセット668」に対して約30%圧損が増えるものの、内蔵のヘッダーバルブにアクチュエーター、別売の「ヘッダーエンド 品番:599660」に「エアベント(品番:502430)」や「ドレンコック(品番:538400)」、そしてバイパスキット(品番:182000)」を接続して装備を拡張できる多機能ヘッダーです。
アクチュエーターを取付けられるヘッダーバルブが内蔵
「連結ヘッダー組662」が「CHヘッダー」と大きく違うのは、回路毎に流量が制御できる点。快適性を追求するためにゾーンコントロールするためです。往き側ヘッダー、戻り側ヘッダーのそれぞれヘッダーバルブを内蔵しています。バルブ構造はスピンドル式なのでボールバルブと異なり流量調整も可能です。
往き側ヘッダーは白い蓋を外すと六角が出てくる

図1 白い蓋を外すと六角レンチで操作できるバルブが現れる。六角の対辺は5mm。
往き側ヘッダーには上部の白いフタを外すと六角レンチで操作できるバルブが内蔵されています。時計回りに回転させると「閉」に、反時計回りで「開」になります。納入時は「閉」になっていることもありますから施工の際には必ず確認して下さい。
戻り側ヘッダーバルブにはアクチュエーターを接続できる

図2
手動ハンドルが付いている戻り側ヘッダーのバルブは、手動で流量を固定することができます。この手動ハンドルを外してアクチュエーターを取付ければ、コントローラによる自動制御ができるという使い方をします。自動制御は床暖房には不可欠ですが、パネルラジエータの場合でもサーモハンドルで調整するよりユーザーの使い勝手が良いという理由でアクチュエーターとコントローラを組み合わせることが増えています。
662は現場に合わせて組み上げて使う
「連結ヘッダー組662」は、現場に合わせて回路数、メインバルブ、エアベント、ドレンコックなどを選択して組み上げて使います。エアベントやドレンコックを使用しない現場には、「ヘッダーエンドキャップ 品番:599360」を選択して閉止してください。
ヘッダー組を連結して回路数を増やす
品番 | 主管 | 枝管 | 回路数 | 基準価格 |
662625 | G1メス | G3/4
(専用継手推奨) |
2 | ¥12,400 |
662635 | 3 | ¥14,300 | ||
662645 | 4 | ¥17,500 | ||
662655 | 5 | ¥21,000 | ||
662665 | 6 | ¥24,000 |

図4 連結ヘッダー組662はねじ込んで現場に必要な回路数まで連結して増やします。ヘッダー同士はEPDMパッキンで完全止水。シール剤は使いません。
フルボアのメインバルブを追加する
ヘッダーと主管の接続部には専用の「ヘッダー用ボールバルブ(フルボア)組(品番:391066)」を使います。あらかじめ取り付けられているOリングでシールするのでシール剤は不要です。
品番 | ねじ | 基準価格 |
391066 | G1 | ¥8,200 |
ヘッダーエンドは2種類から選択する
ヘッダーエンドは、エアベントやドレンコック、そしてバイパスキットを接続できる「ヘッダーエンド(品番:599660)」か、閉止するだけの「ヘッダーエンドキャップ(品番:599360)」のいずれかを選択します。この部材もヘッダーとの接続部がOリングシールです。
「ヘッダーエンド(品番:599660)」

図6 連結ヘッダー組662の末端にドレンコックやエアベントを追加する場合に使用する「ヘッダーエンド(品番:599660)」は当日出荷!上側はG3/8メス、下側はG1/2メスのねじが立てられています。密閉回路の場合は、下側にバイパスキットを取付け差圧を制御してポンプの運転を安定させてください。そうでない場合は「ドレンコック(品番:538400)」を接続して循環液注入口にしてお使いください。
品番 | 品名 | 主管側 | 上部 | 下部 | 基準価格 |
599660 | ヘッダーエンド | G1メス | G3/8メス | G1/2メス | ¥1,320 |
「ヘッダーエンドキャップ(品番:599360)」

図7 連結ヘッダー組662の末端を閉止する「ヘッダーエンドキャップ(品番:599360)」は当日出荷!
品番 | 品名 | 主管側 | 上部 | 下部 | 基準価格 |
599360 | ヘッダーエンドキャップ | G1メス | ー | ー | ¥920 |
電圧にあわせたアクチュエーターを選定
アクチュエーターの可動域とヘッダー内蔵ストップバルブのストローク長が合致しなければ完全止水ができません。よって、CALEFFIのヘッダーにはCALEFFI専用アクチュエーターを使います。代表的な110V仕様の「アクチュエーター(品番:116001)」は、図8のリングをヘッダーに手で締め込んでからアクチュエーター本体を上からパチンと音がするまで押し込むだけの超カンタン施工です。
品番 | 電圧 | 消費電力 | コード長 | 基準価格 |
116001 | AC110V | 1.8W | 100cm | ¥11,000 |
3060002 | AC230V | 2.5W | 100cm | ¥6,300 |
まとめ
アジア向けに開発された「連結ヘッダー組662」は、上位機種と比較すると圧損が約30%大きいものの、国内の一般的な規模の住宅に対する循環液搬送能力は十分です。そのまま低価格な温水暖房用ヘッダーとして使うもよし、高い拡張性を活かして密閉回路で自動制御装置として使うもよし。パネルラジエータや床下放熱器などの高温端末を使ってゾーンコントロールする温水暖房設備にオススメしたい逸品です。

大宮彰大
2008年入社(36歳)
温水暖房分野を担当し2013年4月完成のベストパーツ株式会社社屋の冷暖房部材選定を行う。
MAIL:omiya.shota@best-parts.jp

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