部屋をまたぐエコキュートの連絡配管には【更新可能被覆さや管】を使いましょう。

発売から20年以上が経過した「エコキュート」の普及に伴い、設置現場も多様化した昨今、集合住宅に多い天井裏や床下を使って部屋をまたいだ連絡配管の更新性が重要になっています。集合住宅の多くは、あらかじめ「更新可能被覆さや管」を採用しておけば10~15年とされる給湯器の交換サイクルと同時交換が可能です。

この記事は2019年11月13日に公開しましたが、校正し直し2022年11月21日に再公開しました。

エコキュートと連絡配管は同時交換が前提

90℃~95℃にも達するエコキュートの沸き上げ温度。そんな高温の温水が1日平均8時間程度流れる連絡配管には、給湯配管とは比較にならない程のストレスが掛かっています。そのためエコキュートや配管メーカーは「機器の交換と同時に連絡配管を交換」することを推奨しています。しかし、連絡配管が部屋をまたぐ現場では連絡配管の交換が物理的に不可能なケースもあります。そのような現場において、将来の機器交換と同時に連絡配管の交換を可能にする唯一の方法は「更新可能被覆さや管」を使用することです。

更新性に加え断熱・保温効果も期待できる

内径22㎜のさや管に10㎜厚の保温材を被せたのが「更新可能被覆さや管」です。往き戻りが判別しやすいように、ブルーとピンクの2色展開となっています。

品番 適合パイプ 外径 保温材厚 全長 基準価格
CD-22HON10B 10A 27.5㎜ ブルー 10㎜ 50m ¥27,310
CD-22HON10P 10A 27.5㎜ ピンク 10㎜ 50m ¥27,310

もちろん一般的なさや管でも、将来的な配管更新に対応することは可能です。一方で、メーカー各社が打ち出しているAPF(通年エネルギー消費効率)を実現するには、放熱ロスを防ぐ保温材の存在が必要不可欠です。「更新可能被覆さや管」は、一般的な給水給湯用のさや管に10㎜厚の保温材を巻く事で、エコキュートの省エネ性能を落とすことなく配管更新に備えることができます。

挿入する裸管は何が良いのか?

長期間に渡って柔軟性を維持できるものがベター

パイプシャフトから室内への防火区画貫通部。更新可能被覆さや管とFケーブル用のさや管が開口部から確認できる。

例えば、パイプシャフト内にある電気温水器をエコキュートに交換したい場合は、電気温水器撤去後、エコキュートの貯湯タンクをパイプシャフト内、ヒートポンプをベランダにそれぞれ設置して連絡配管を天井裏に15~20m程度隠蔽するとします。その場合、先に更新可能被覆さや管を敷設した後から裸管を挿入しなければなりませんが、硬くてさや管の曲線部に対応できない(入っていかない)銅管アルミ三層管は挿入できません。よって、挿入する際は柔軟性がある「エコるーぷ」か「架橋ポリエチレン管」のどちらかを選択してください。

更新性と信頼性を重視するなら「エコるーぷ」

「エコるーぷ裸管(品番:EL10A-120)」圧倒的な施工性の良さと高い品質で、集合物件での採用が増えています。

品番 呼び 内径 外径 全長 基準価格
EL10A-120 10A 10㎜ 14.6㎜ 120m ¥126,000

今やエコキュートメーカー複数社の推奨を獲得しているブリヂストンの「エコるーぷ」。使用環境のより厳しい建機用油圧ホースの知見をフィードバックしたフッ素樹脂製の連絡配管専用ホースは、10年保証をはじめとした高い信頼性とベテラン職人をも虜にする優れた柔軟性で、大手ゼネコンでの採用も増えています。架橋ポリエチレン管より柔軟性が高くさや管に挿入しやすいうえ、経年でも硬化や伸縮も最小限に抑えられているため機器入替時の引き抜きもラクラク。欠点は他の管種と比較して価格が高いことですが、更新性と信頼性を重視するなら「エコるーぷ」がオススメです。

エコるーぷ 関連記事はこちら

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専用潤滑剤(シリコンスプレー)を1回吹き付けるだけで、さらにスムーズな挿入や引き抜きが可能になります!

価格と性能のバランスで選ぶなら「架橋ポリエチレン管」

連絡配管に使用できる唯一の三菱ケミカルインフラテック社製架橋ポリエチレン管「エクセルパイプHC(品番:HC-10)」

品番 呼び 内径 外径 全長 基準価格
HC-10 10A 9.8㎜ 13.0㎜ 100m ¥18,200

今までの集合物件のエコキュート連絡配管で、最も多く使用されてきたであろう三菱ケミカルインフラテック社の架橋ポリエチレン管「エクセルパイプHC」。エコキュート発売当初からメーカー各社の推奨品として、多数の集合物件の連絡配管に採用されてきました。理由は価格と性能のバランスが非常に良いところ。価格を重視する場合は現実これ一択となります。一方で、連絡配管として10年以上が経過した架橋ポリエチレン管は経年劣化で硬化していることが多く、さや管から引き抜けないということも実際起こっています。エコキュートからエコキュートの入替であれば、ヒートポンプ配管の往き側と戻り側を逆にすることで応急対応は可能ですが、いつまでも使い続けることはできませんので、採用される際は慎重にご検討ください。

まとめ

発売から20年以上が経過したエコキュートは、本格的な交換サイクルに突入しています。こと集合物件も例外ではなく、隠ぺい部での将来的な連絡配管の交換を見据えて「更新可能被覆さや管」を採用するケースが増えています。一般的なさや管との違いは、10㎜厚の被覆がさや管自体に巻かれている点。さや管からの放熱ロスを防ぎ給湯効率を上げる効果が期待できます。そこに挿入する管は、「エコるーぷ」と「架橋ポリエチレン管(エクセルパイプHC)」の2択となります。エコるーぷは10年保証と機器メーカーの推奨も取得し、より安心して使用できるようになりました。硬化などの経年劣化も極僅かですので予算が許せばオススメです。予算が厳しいという場合は必然的に架橋ポリエチレン管となります。ただし連絡配管に使用できる架橋ポリエチレン管は「エクセルパイプHC」だけです。エコキュート発売当初から機器メーカーの推奨を獲得している信頼性の高いパイプですので性能的な問題はありませんが、経年劣化で管が硬化し機器との同時交換は困難という現場事例も報告されていますので慎重にご検討していただけるようお願いいたします。

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佐々木 克仁

佐々木 克仁

2001年ベストパーツ株式会社(旧東北綜合器材株式会社)入社。2002年より営業職。分類は給水給湯を担当。1976年生まれ。
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