
作業効率UP!グリップの色別・圧着工具選びのポイント
圧着工具はグリップの色で見分ける!
電気工事の現場では、多様な圧着端子が登場します。そのうちリングスリーブに用いる圧着工具は、メーカーを問わず、グリップの色は黄色とJIS規格で明確に定められています。これにより、瞬時に必要な工具を選択することが可能です。しかし、リングスリーブ以外の端子──例えば裸・絶縁端子や絶縁被覆付閉端子用の圧着工具──に関しては、明確な色の規定は存在しないため、選ぶ際に迷ったり、ミスが生じる可能性は否定できません。
明確に定められているのは1色のみだが、ある程度見分けはつく
先述の通り、JIS規格で明確にグリップの色が定められているのはリングスリーブ用の黄色のみですが、用途の異なる圧着工具も見分けやすいよう黄色以外のグリップ色を採用することとなっています。おおよそ、以下のような色分けがされていることが多いようです。ただしあくまで目安で、このパターンに当てはまらないものも少なくありません。購入時には用途をきちんと確認しておきましょう。
グリップ色 | 用途 |
黄 | リングスリーブ(E形裸圧着スリーブ) |
赤 | 裸圧着端子・裸圧着スリーブ |
青 | 絶縁被覆付圧着端子・絶縁被覆付圧着閉端子 |
グリップの色で選ぶ、時短&確実な圧着工具
これらの圧着工具の中から、グリップの色によって端子を迅速に識別できる商品をご紹介します。色で識別できる工具を選ぶことで、より迅速かつ確実に作業を進めることが可能になります。
E形リングスリーブには黄色グリップのJIS準拠モデル【AK17A】
ロブテックスの「圧着工具(商品コード:AK17A)」はJIS C 9711規格準拠品です。技能試験で主に使用されるリングスリーブ「小」「中」だけでなく、「大」にも対応しており、実際の現場でも大いに役立ちます。少し大きいと感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、グリップは黄色のエラストマーで一体成型されているため想像以上に握りやすく、力も入るので使いやすいと高評価を得ています。
品番 | 適合品番 | 全長 | 質量 |
AK17A | E-S、E-M、E-L | 277mm | 460g |
裸圧着端子・スリーブ対応の【MH-14】
マーベル工業製の「裸圧着端子・スリーブ用 圧着工具(商品コード:MH-14)」は、裸圧着端子とスリーブ(スリーブP・B)の2種類に対応した多機能な圧着工具です。幅広い電線抱合容量0.25~16.78㎟に適応し、特に8㎜や14㎜の電線圧着にも使えます。刃部分に圧着マークがくっきり印字されているので、適合端子の確認がしやすく、不適合な端子に使用するリスクを低減します。さらに、正確に圧着が完了するまでダイスが開放しない「成形確認機構(ロック)」を搭載。作業の信頼性・確実性が高まります。
品番 | 圧着サイズ(㎟) | 全長 | 質量 | 基準価格 |
MH-14 | 1.25、2、5.5、8、14 | 243mm | 400g | ¥9,530 |
ポケットサイズで多機能!赤いグリップの【AK1MA2】
ロブテックス製の「ミニ圧着工具(商品コード:AK1MA2)」は、ロングセラーモデル「AK1MA」をさらに進化させた、ポケットに収納可能なミニサイズの工具です。従来の1.25㎟や2.0㎟に加えて5.5㎟にも対応し、対応する圧着端子は、丸形裸圧着端子、Y型裸圧着端子、裸圧着スリーブ(突合せ)、裸圧着スリーブ(重ね合せ)など、種類も豊富で使用範囲が広い多機能さが魅力。JIS認証を取得しており、ダイスが正しく圧着されるまで開くことのない「成形確認機構(ロック)」を備えています。操作性を追求した赤色のエラストマーグリップは手にしっかりフィットし、端子の仮押さえも片手でスムーズに行えます。
品番 | 圧着サイズ(㎟) | 全長 | 質量 |
AK1MA2 | 1.25、2、5.5 | 172mm | 260g |
絶縁被覆付圧着端子と絶縁被覆付スリーブの2種類対応【MH-032】
マーベル工業製の「圧着工具(商品コード:MH-032)」は、軽量・コンパクトな設計により、片手操作が容易となっています。ハンドルを一度握るだけで、端子の仮押さえができる構造を採用。さらに、「成形確認機構(ロック)」機能を持ち、安心・確実な圧着が可能です。JIS規格外の端子への対応が可能ながら、その品質・性能はJIS製品と変わりません。グリップ部は、絶縁被覆付圧着端子と絶縁被覆付スリーブの2種類の圧着端子に適応するため、赤と青の2色のエラストマーで覆われています。
品番 | 圧着サイズ(㎟) | 全長 | 質量 |
MH-032 | 0.3、0.5、1.25、2 | 180mm | 250g |
まとめ
電気工事において、電線の接続に欠かすことのできない圧着工具。そのグリップの色は迅速かつ確実に作業を進める上での大きな助けとなっています。リングスリーブ用の圧着工具はJIS規格に基づき黄色と定められていますが、他の端子に適合する工具は明確には定められておらず、しかしながらある程度の指標をもって視認性のよい色のグリップが採用されています。これらを踏まえたうえで、管理のしやすい圧着工具を選びましょう。
※この記事は2023年6月5日に公開しましたが、内容を大幅に修正し2025年7月4日に再公開しました。

佐々木瞭

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