ステンレスフレキシブル管のグレードを使い分ける

配管の樹脂化が進んだ今でも、給湯器の入替工事に欠かせないのがステンレスフレキシブル管。実は、2種類のグレードが存在しているのはご存じでしょうか?本稿では、使用する地域の水質や環境によって使い分けていただきたい、ステンレスフレキシブル管のグレードついてご説明していきます。

2020年6月11日公開の記事ですが、内容を修正し2021年11月18日に再公開しました。

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水質や使用環境によってグレードを変える

サビなどの腐食を嫌う水回りの金属製品には、オーステナイト系と呼ばれるステンレス鋼が使われています。オーステナイト系ステンレス鋼は、鉄の中にCr(クロム)やNi(ニッケル)、Mo(モリブデン)などの元素を固溶させることで、ステンレスの耐食性・延性・靭性・冷間加工性にを引き出しています。一般的にニッケルは常温での安定性とサビの進行を遅らせる効果、クロムでサビにくくする効果、モリブデンで不動態被膜の自己修復作用を高める効果を狙っています。

ステンレスフレキシブル鋼のグレードは”SUS304”と”SUS316L”の2種類

ステンレスフレキシブル管には、素材であるステンレス鋼のグレードが2種類存在しています。

ステンレス鋼 Cr(クロム) Ni(ニッケル) Mo(モリブデン)
SUS304 18.0%~20.0% 8.0%~10.5% 0%
SUS316L 16.0%~18.0% 10.0%~14.0% 2.0%~3.0%

SUS304は、表面に形成されたCr(クロム)と大気中の酸素によって酸化皮膜(不動態皮膜)が形成され、サビが内部に進行することを防いでいます。しかし、水質(塩分が多い・水質の硬度が高いなど)によっては、その一部が破壊され、局部的にサビが進行することがあります。

錆のプロセスはSUS316Lも同じです。しかし、Mo(モリブデン)を添加することで一部破壊された部分を自己修復する力を増幅し、耐腐食性を高めているのがSUS316というグレードです。さらに、末尾に「L」が付くとC(炭素)成分が低いローカーボンタイプのステンレスになり、溶接部に発生しやすいクロムと炭素が結合して発生するサビ「耐粒界腐食」を避けることが可能になります。

以上から、SUS316Lは、SUS304より耐食性に優れた安定したステンレス鋼であるといえます。

SUS316Lを選定したい地域

図1:安定したステンレスSUS316L製の「ステンロングフレキ(品番:SK13L-10)」。1巻から受注当日出荷している

品番 ステンレス鋼 外径 全長 基準価格
SK13L-10 SUS316L φ16.0 10m ¥5,600
SK20L-10 SUS316L φ20.0 10m ¥9,880

重塩害地域または塩害地域

海からの風にさらされる地域では、SUS316Lの「ステンロングフレキ(SUS316L)」をご選定ください。目安は重塩害地域(海岸から200m~500m以内)または塩害地域(海岸から2㎞以内)です。ただし、高層集合住宅の場合は海岸から2㎞以上離れていても影響を受けることもありますので注意が必要です。

ミネラルが豊富な土壌を持つ地域

上水道が敷かれていない地域では、地下水や井戸水を上水の代わりに使用している地域が見られます。また、水系によっては浄水場を経てもなおミネラル分が多い地域もあります。そういった地域の水道水は、ミネラルウォーターとしては非常に美味しく体にも良いのですが、金属系の配管材とのマッチングは決して良好とは言えません。よって、ミネラルが豊富な土壌を持つ地域には「ステンロングフレキ(SUS316L)」をオススメします。

一般的な地域ではSUS304でも問題なし

優れた特性が魅力の「ステンロングフレキ(SUS316L)」ですが、SUS304と比較すると、レアメタルであるモリブデンを添加している分だけ高価な点がネックです。例えば、ベストパーツオンラインの同じ規格(φ16.0×10m)で比較した場合でも、価格差は小さいとは言えません。価格に見合った性能やメリットはありますが、先述のような腐食要因が多い環境でなければ「ステンロングフレキ(SUS304)」をご利用ください。

図2:価格が手ごろで人気の高いSUS304製。写真は最も売れている「ステンロングフレキB 10m巻(外径φ16.0)(商品コード:SK13L-10B)。外径φ16.0以外に、φ16.8、φ20.0も受注当日出荷している

品番 ステンレス鋼 外径 全長 基準価格
SK13L-10B SUS304 φ16.0 10m ¥3,350
SK13L-10C SUS304 φ16.8 10m ¥3,980
SK20L-10B SUS304 φ20.0 10m ¥6,750

加工品質にも気を付けたい

水質や使用環境によってグレードを使い分ける必要性はお分かりいただけたと思います。しかし、そもそも加工精度や品質にバラつきのある製品に気を付けてください。ベストパーツブランドのステンレスフレキシブル管は、定尺・巻物の全量を国内の単一工場にオーダーしています。定期的にライン巡回を実施して、目指す品質レベルと常にすり合わせて参りました。その結果、多くの住設機器メーカー様に純正部品としてご採用をいただいておりますので安心してご用命ください。関連記事はこちら

まとめ

給湯器まわりなど、様々な用途に使用されるステンレスフレキシブル管。選定は使用する水質や環境に合わせて行う必要があります。ステンレスのグレードは2種類(SUS316L/SUS304)あり、塩害地や地下水・井戸水エリアではより耐食性の高い「SUS316L」、その他一般的なエリアでは「SUS304」がオススメです。また、腐食やピンホールの発生原因は、水質だけではありません。お使いのステンレスフレキシブル管の加工品質も点検してください。信頼できる製品は、製造工程を第三者が定期的にチェックする体制が確立されていて、万が一のトラブル時には直ぐに原因分析が行われる国内製造品ではないでしょうか。

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佐々木 克仁

佐々木 克仁

2001年ベストパーツ株式会社(旧東北綜合器材株式会社)入社。2002年より営業職。分類は給水給湯を担当。1976年生まれ。
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