地域特性で選ぶ。ステンロングフレキ

樹脂配管が進んだ今も給湯機器入替え工事の配管はステンロングフレキが基本です。その「ステンレス鋼」は2種類用意されているのはご存じでしょうか?本稿では、使用する地域の水質や流体によって使い分けて欲しいステンフレキの2つのグレードついてご説明していきます。

実は複雑なステンフレキ事情

飲用水に限らず、液体搬送するとき、たいていはステンフレキを使っています。しかし、そのステンフレキが最適な選択なのかどうかの判断は実は意外に難しいのです。最近は輸入品も増えてきて、選択肢が豊富になりました。その反面、溶接や曲げなど加工の仕方による品質のばらつきが大きくなっています。

酸化しにくいオーステナイト系ステンレス鋼を採用

錆びを嫌う水回りの金属製品ではオーステナイト系ステンレス鋼の代表的な存在である「SUS304」や「SUS316L」が使われています。オーステナイト系ステンレス鋼は、鉄の中にCr(クロム)やNi(ニッケル)、Mo(モリブデン)などの元素を固溶させることで、ステンレスの耐食性・延性・靭性・冷間加工性にを引き出しています。一般的にニッケルは常温での安定性と錆の進行を遅らせる効果、クロムで錆びにくくする効果、モリブデンで不導態膜の自己修復作用を高める効果を狙っています。

SUS304とSUS316Lの違いに注意

ステンフレキでも巻き形状のステンロングフレキにはステンレス鋼が2種類存在しています。

ステンレス鋼 Cr(クロム) Ni(ニッケル) Mo(モリブデン)
SUS304 18.0%-20.0% 8.0%-10.5% 0%
SUS316L 16.0%-18.0% 10.0%-14.0% 2.0%-3.0%

SUS304は、表面に形成されたCr(クロム)と大気中の酸素によって酸化皮膜(不動態皮膜)が形成され、錆が内部に進行することを防いでいます。しかし、使用環境(塩分が多い・水質の硬度が高いなど)によっては、その一部が破壊され、局部的に錆びが進行することがあります。

錆のプロセスはSUS316Lも同じです。しかし、Mo(モリブデン)を添加することで一部破壊された部分を自己修復する力を増幅し、耐腐食性を高めているのがSUS316というグレードなのです。

さらに、末尾に「L」が付くとC(炭素)成分が低い「極低炭素鋼」となり、SUS316の性質にクロムと炭素が結合して発生する錆び「耐粒界腐食」を避けることが可能になります。

以上から、SUS316LはSUS304より耐食性に優れた安定したステンレス鋼であるといえます。

SUS316Lを選定したい地域

安定したステンレスSUS316L製の「ステンロングフレキ(品番:品番:SK13L-10)は全長10mです。1巻から当日出荷

耐食性に優れたSUS316Lを採用した「ステンロングフレキ(SUS316L)」ステンロングフレキを選定して欲しい地域は以下となります。

重塩害地域または塩害地域

海からの風にさらされる地域では、SUS316Lの「ステンロングフレキ(SUS316L)」をご選定ください。目安は重塩害地域(海岸から200m~500m以内)または塩害地域(海岸から2㎞以内)です。ただし、高層集合住宅の場合は海岸から2㎞以上離れていても影響を受けることもありますので注意が必要です。

ミネラルが豊富な土壌を持つ地域

上水道が敷かれていない地域では、地下水や井戸水を上水の代わりに使用している地域が見られます。また、水系によっては浄水場を経てもなおミネラル分が多い地域もあります。そういった地域の水道水は、ミネラルウォーターとしては非常に美味しく体にも良いのですが、金属系の配管材とのマッチングは決して良好とは言えません。よって、ミネラルが豊富な土壌を持つ地域には「ステンロングフレキ(SUS316L)」をオススメします。

一般的な地域ではSUS304でも問題なし

非常に優れた特性が魅力の「ステンロングフレキ(SUS316L)」ですが、SUS304と比較するとレアメタルであるモリブデンを添加している分だけ価格が高い点がネック。例えば、弊社のラインナップ内の同じ規格(φ16.0×10m)で比較した場合でも価格差は小さいとは言えません。価格に見合った性能やメリットはありますが、先述のような腐食要因が多い環境でなければステンロングフレキ(SUS304)をご利用ください。

鋼種 品番 外径 全長 基準価格
SUS316L SK13L-10 φ16.0 10m ¥5,600
SUS304 SK13L-10B φ16.0 10m ¥3,350

売れ線のSUS304製ステンロングフレキは、つば外径3種類(φ16.0、φ16.8、φ20.0)を当日出荷でご用意しております。

材質だけでは語れない

ただし、以上の優れた特性も絞り加工や溶接加工(熱や応力)の仕方によって悪化します。ステンフレキの良し悪しは、最終製品全体で特性が発揮されなければなりません。ステンフレキは全面的に加工の手が入っている製品ですから、高い品質を維持するためには製造工場との相互理解・協力が欠かせないのです。

ベストパーツブランドのステンフレキは、定尺フレキ・巻フレキの全量を国内の1工場にオーダーしています。定期的に品質巡回を実施して目指す品質レベルと常にすり合わせてまいりました。その結果、多くの住設機器メーカー様に純正部品としてご採用をいただいておりますので安心してご用命ください。

まとめ

ステンロングフレキの鋼種は2種類設定がありますが、選定は使用する環境に合わせて行ってください。塩害地や地下水・井戸水エリアではより耐食性の高いSUS316L製を選定頂ければ、腐食による漏水リスク等を最小限に抑えることができます。ただし、価格は安くないので、一般的な環境下ではSUS304製でも問題ありません

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佐々木 克仁

佐々木 克仁

2001年ベストパーツ株式会社(旧東北綜合器材株式会社)入社。2002年より営業職。分類は給水給湯を担当。1976年生まれ。
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