
ガス用PE管継手の融着には専用のEFコントローラが必要です。
都市ガスやLPガスの埋設配管で使用されるガス用PE管とEF継手は、日本工業規格(JIS K 6774、JIS K 6775)により仕様が統一されています。そのため、パイプと継手はメーカーを問わず組み合わせて施工が可能です。しかし、融着機(EFコントローラ)はメーカーごとに使い分けが必要です。なぜ規格が統一されているのに、融着機だけは共通化できないのでしょうか?
ガス用PE管とEF継手は全メーカー統一規格
ガス用ポリエチレン管はJIS K 6774、エレクトロフュージョン継手(EF継手)はJIS K 6775で、それぞれ日本工業規格で、都市ガス及び液化石油ガスの供給に用いる埋設用ポリエチレン管として規定されています。
3社のパイプとEF継手は規格が同じですから、メーカーを気にせず組み合わせて施工することが可能です。
EFコントローラには2タイプある
現在、ガス用PE管の参入メーカーは三井化学産資株式会社と積水化学工業株式会社、そして桑名金属工業(旧日立金属)の3社に集約され、日本工業規格で仕様が定められています。
しかし対応する融着機は次の2種類に分かれています。
- レッキス工業製「GEF200-BⅡ」
三井化学産資・積水化学工業グループに対応 - 桑名金属工業製「EFC-102N」
桑名金属工業専用
レッキス工業社製【GEF200B-2】 | 桑名金属工業(旧日立金属)社製【EFC-102N】 | |
電 圧 | AC80 ~120V | AC80 ~120V |
出 力 | 2KVA以上 | 2KVA以上 |
周 波 数 | 45~65Hz | 45~65Hz |
電 力 | 1.5㎾(最大) | 1.5㎾(最大) |
電 圧 | 24~76V | 24~76V |
電 流 | 2~36A | 2~36A |
適合継手 | 呼び径25~200 | 呼び径25~315 |
表の通り、2つのタイプは性能面では大きな差はなく、バーコードの指定電圧を温度補正した時間で通電制御する融着方式も同様です。
違いは「電極アダプタのコネクタ形状」にあります。これが、融着機を共通化できない最大の理由です。
融着機本体のEFコントローラに互換性がありませんが、融着接続するためのそのほか工具には一部を除いて共通で使用が可能です。
- 共通で使える工具
- ガス用PE管クランプ
- ソケットスクレーパ
- ガス用PE管パイプカッター
- 共通化できない工具
- サドルクランプ(MMSグループと桑名金属でサドル形状が異なるため)

レッキス工業社 サドルクランプ

桑名金属工業社 サドルクランプ
まとめ
ガス用PE管とEF継手はJIS規格によって統一されているため、メーカーを問わず自由に組み合わせて施工することができます。しかし、融着機であるEFコントローラについては、各メーカーの電極アダプタのコネクタ形状が異なるため、共通化されていません。
そのため、三井化学産資・積水化学工業にはレッキス工業製、桑名金属工業には同社専用のコントローラを使い分ける必要があります。工具類については多くが共通で利用可能ですが、サドルクランプだけはメーカーごとに形状が異なるため注意が必要です。
現場では、この違いを理解し、適切に機器を選定しましょう!
※この記事は2020年6月に初回公開した記事ですが、内容を見直し、2025年8月19日に再度公開いたしました。
関連する記事

佐々木瞭

最新記事 by 佐々木瞭 (全て見る)
- 被覆鋼管とPC継手の施工ポイント - 2025年8月22日
- ロードヒーティングが動作しない!知っておきたい降雪センサーのトラブルシューティング - 2025年8月22日
- スリムダクトSDとフリーコーナー(カットタイプ)をつなぐ「フリーコーナージョイント」 - 2025年8月22日