集合住宅用防火区画貫通部材の選び方
今回は「マンションの防火区画に配管を貫通させるのですが、いまいち認定や評定という用語がわからずどんな防火部材を選んでよいのかわかりません。もう少し詳しく教えてもらえませんか?」というご質問に回答していきます。
そもそも防火区画とは?
戸建住宅は別として、学校や工場、病院、オフィスビル、ホテルなどの非住宅や、共住区画があるマンションや公営住宅、寮などには「防火区画」という、万が一の火災の際に共用部などに火が回らないような壁が殆どの場合設けられています。この防火区画に穴を開けたりすることは原則NGなのですが、生活に必要不可欠な配管や配線を貫通させなければならない場合、ある法律に則っていれば貫通させることが可能になります。
建築基準法と消防法
では、その法律とはどんなものでしょうか?ここからがちょっとだけややこしくなるのですが、防火区画貫通において関連するのが「建築基準法」と「消防法」の2種類の法律。では、なぜわざわざ分けているのでしょうか?実は以下のような区分けがあるからなのです。
・建築基準法上の防火区画→「国土交通大臣認定」
・消防法上の防火区画(令8区画・共住区画)→「(一財)日本消防設備安全センター評定」
建築基準法上の防火区画とは、主に非住宅(学校・病院・工場・オフィスビル・ホテル等)が該当し、共住区画のあるマンション・公営住宅・寮などは消防法が該当します。令8区画とはマンションと店舗もしくは駐車場との境界などを指し、こちらも消防法が該当します。
今回は集合住宅を前提としているので消防法上の「日本消防設備安全センター評定」に適合する防火区画貫通処理を実施する必要があります。ただし、令8区画に適合する評定と共用区画に適合する評定は別になりますので注意が必要です。
【令8区画:消防庁通知 消防予第53号】
①配管用途は原則給排水管のみ
②配管と貫通部は一体で、建築基準法施行令第107条第1号の通常火災時の加熱に2時間以上耐えられるものを使用する
【共住区画:総務省令第40号】
①配管用途は給排水管、空調用冷温配管、ガス管、冷媒管、配電管など、その他これらに類するもの
②床または壁を貫通する配管など、及びそれらの貫通部が一体として耐火性能を有しているものとして認められたものを使用する
今回は集合住宅におけるエコキュートの連絡配管でしたので、共住区画に適合する評定を受けた処理方法を選択すれば問題ありません。
まとめ
防火区画貫通に置いての1つめのポイントは【工場等の非住宅:建築基準法→「認定」】【マンション等の集合住宅:消防法→「評定」】と、覚えて頂ければと思います。施工されるそれぞれの建築物の種類で、どちらが必要なのか判別して頂ければ幸いです。
次回は「消防設備安全センター評定」について、もう少し詳しく触れさせて頂きます。
ベストなパーツでは、施工業者様の住宅設備部材に関わる小さな疑問やお困りごとの解決をさせて頂きます。
佐々木 克仁
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