
金属配管専用!凍結リスクを最小化する凍結防止ヒーターの正しい選定ポイント
金属配管に最適な凍結防止ヒーターを選ぶための3つのキー
金属配管専用の凍結防止ヒーターを選ぶ際、重要なのは「ヒーターの種類」「消費電力」「動作温度」の3つです。とりわけ動作温度は、製品の寿命や効率に大きく影響しますので、その選定は施工業者様にとって非常に重要です。
凍結防止ヒーターの選定:種類・消費電力・動作温度
ヒーターの種類とその特徴
ホームセンターなどでは、節電を求める多くのユーザーに向けて、人気の節電型のサーモスタッドを組み合わせることができる「サーモスタッド分離型」が支持を集めています。
一方、施工業者様にとっては、金属配管に使用する際は「サーモスタッド一体型」を選択することをオススメします。なぜなら、施工される地域の外気温によっては期待されるほどの節電効果が得られないリスクが高まるからです。その理由として、サーモスタッド分離型は外気温だけを検知するため、配管が凍結を防ぐ適切な温度に達していても、加熱し続けるという特性があげられます。
ヒーター名 | 種 類 | 備 考 |
---|---|---|
IFTヒーター | 一体型(8m以上は独立型) | – |
レギュラーヒーター | 一体型 | – |
エコセブンヒーター | 分離型 | ランプ付き |
消費電力とその影響
消費電力は、ヒーターの発熱量と等価と考えられるため、この値が大きければ大きいほど、凍結防止能力が高くなります。たとえば、標準的な水道管の凍結を防ぐためには、1mあたり15Wの発熱量が必要とされています。この基準を元に、12W/mの消費電力を持つヒーターを使用する場合、25%長くヒーターを巻きつけることが求められます。価格面では、15W/mのヒーターと12W/mのヒーターの間に25%以上の価格差がない場合、12W/mのヒーターのコスパは良くないと言えるでしょう。
ヒーター名 | 消費電力 | 基準価格 | 価格差割合 |
---|---|---|---|
IFTヒーター(Dタイプ) | 15W/m | 1,940円 | – |
レギュラーヒーター | 12W/m | 1,480円 | ▲23.7% |
エコセブンヒーター | 12W/m | 3,380円 | +74.2% |
IFTヒーター(Dタイプ)が基準価格1,940円である中、レギュラーヒーターは23.7%低い1,480円となっています。一方、エコセブンヒーターは74.2%高い3,380円ですが、このヒーターには節電サーモスタッドが付属しているため、価格だけでの単純比較は適切ではありません。施工業者様は総合的な性能とコストを検討し、最適な選択をすることが求められます。
IFTヒーターとレギュラーヒーターの設置長さの目安表
消費電力の大きさに応じて、「そわせる」方式か「巻き付ける」方式という施工方法が選択されます。下表を参照すると、15W/mのIFTヒーターでは「そわせる」施工の適用範囲が広く、また巻き付けのピッチも広めに設定することが可能であることが確認できます。
動作温度と製品寿命
製品の動作温度は、その寿命に大きく影響します。現在市場に出回っている凍結防止ヒーターの多くは、バイメタルを感熱体として使用しているサーモスタッドを採用しており、そのため、スイッチングの回数が製品寿命を大きく左右することになります。製品を選ぶ際には、設置地域の外気温だけでなく、風当たり、陽当たり、水温、給水の頻度などの要因も考慮に入れることが必要です。スイッチング頻度が少ないモデルを選ぶことで、長寿命を期待できるでしょう。
ヒーター名 | 通電温度 | 停電温度 |
---|---|---|
IFTヒーター | 配管温度3℃ | 配管温度10℃ |
レギュラーヒーター | 配管温度5℃ | 配管温度13℃ |
エコセブンヒーター | 外気温度5℃ | 外気温度5℃ |
主要モデルの紹介
凍結防止能力が高いモデル「IFTヒーター」
電熱産業株式会社製の「IFTヒーター」は、圧巻の消費電力15W/mを誇るモデルとして知られています。このヒーターの通電温度は3℃と設定されており、季節の変わり目や朝晩での不要な加熱を最小限に抑えています。さらに、停電温度が10℃であるため、過度な加熱も回避されます。また、サーモスタッド一体型のこのヒーターは、8m以上の長さのものには下図の通りに独立したサーモスタッドが組み込まれており、その結果、施工性も大変優れています。
IFTヒーターのラインナップ(パイロットランプ機能付きモデル)
品番 | 消費電力 | 発熱帯長 | 保温テープ長 |
PLD-0.5 | 7.5w | 0.5m | 2m×1 |
PLD-1 | 15w | 1m | 2m×1 |
PLD-1.5 | 22.5w | 1.5m | 4m×1 |
PLD-2 | 30w | 2m | 4m×1 |
PLD-3 | 45w | 3m | 2m×1+4m×1 |
PLD-4 | 60w | 4m | 4m×2 |
PLD-5 | 75w | 5m | 2m×1+4m×2 |
PLD-6 | 90w | 6m | 4m×3 |
PLD-8 | 120w | 8m | 4m×4 |
PLD-10 | 150w | 10m | 4m×5 |
PLD-15 | 225w | 15m | 4m×8 |
PLD-20 | 300w | 20m | 4m×10 |
IFTヒーターのラインナップ(パイロットランプのないモデル)
品番 | 消費電力 | 発熱帯長 | 保温テープ長 |
D-0.5 | 7.5w | 0.5m | 2m×1 |
D-1 | 15w | 1m | 2m×1 |
D-1.5 | 22.5w | 1.5m | 4m×1 |
D-2 | 30w | 2m | 4m×1 |
D-2.5 | 37.5w | 2.5m | 2m×1+4m×1 |
D-3 | 45w | 3m | 2m×1+4m×1 |
D-4 | 60w | 4m | 4m×2 |
D-5 | 75w | 5m | 2m×1+4m×2 |
D-6 | 90w | 6m | 4m×3 |
D-8 | 120w | 8m | 4m×4 |
D-10 | 150w | 10m | 4m×5 |
D-15 | 225w | 15m | 4m×8 |
経済的で確かな性能:レギュラーヒーター
「レギュラーヒーター」は山清電気株式会社が提供するコストパフォーマンスに優れたモデルです。長さに関係なく、サーモスタッドの位置は発熱帯の中央にあり、電源コードの長さも1.3mと経済的です。その上、消費電力と発熱量が12W/mと低めに設定されており、5℃からの通電開始と13℃までの連続加熱が特徴的な動作温度としています。
レギュラーヒーター のラインナップ(パイロットランプのないモデル)
消費電力 | 発熱帯長 | 保温テープ長 | |
RHE-0.5 | 6w | 0.5m | 4m×1 |
RHE-1 | 12w | 1m | 4m×1 |
RHE-1.5 | 18w | 1.5m | 4m×1 |
RHE-2 | 24w | 2m | 4m×1 |
RHE-3 | 35w | 3m | 4m×2 |
RHE-4 | 48w | 4m | 4m×2 |
RHE-5 | 55w | 5m | 4m×3 |
RHE-6 | 60w | 6m | 4m×3 |
RHE-8 | 80w | 8m | 4m×4 |
RHE-10 | 100w | 10m | 4m×5 |
ユーザーに人気が高い節電モデル「エコセブンヒーター」
山清電気株式会社の「エコセブンヒーター」は、金属配管用の凍結防止ヒーターとして節電性を特色としており、一線を画しています。その節電性能は、通電時と停電時の突入電流の抑制により実現されています。また、外気温を検知するサーモスタッドが分離可能なため、施工が簡単に行えます。ただし、外気温検知式の特性上、節電効果が最大化できる地域には制限があります。
エコセブンヒーターのラインナップ(パイロットランプ機能付きモデル)
品番 | 消費電力 | 発熱帯長 | 保温テープ長 |
ECO7-0.5 | 6W | 0.5m | 無 |
ECO7-1 | 12W | 1.0m | |
ECO7-1.5 | 18W | 1.5m | |
ECO7-2 | 24W | 2.0m | |
ECO7-2.5 | 30W | 2.5m | |
ECO7-3 | 35W | 3.0m | |
ECO7-3.5 | 42W | 3.5m | |
ECO7-4 | 48W | 4.0m | |
ECO7-5 | 55W | 5.0m | |
ECO7-6 | 60W | 6.0m | |
ECO7-8 | 80W | 8.0m | |
ECO7-10 | 100W | 10.0m |
まとめ
金属配管用の凍結防止ヒーターの選び方には、いくつかの重要なポイントが考慮されるべきです。特に「凍結防止ヒーターの種類」、「消費電力」、そして「動作温度」が主要な要因として挙げられます。「IFTヒーター」はその中でも凍結防止能力と寿命に優れ、サーモスタッド一体型でありながら8m以上の長尺サイズではサーモスタッドを独立させて施工性も確保しており、市場での評価も高いです。特に、パイロットランプ付きのIFTヒーターは動作を目で確認することができ、これにより誤動作のリスク低減や安全性の向上が期待されます。しかし、予算やコストが最優先の場合は、「レギュラーヒーター」の選択も検討する価値があります。
※本記事は2020年9月24日に公開しましたが、修正を加えて2025年7月30日に再度公開しました。

佐々木 克仁

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