第一種換気システムは、屋外から取り入れた新鮮な空気を屋内に設置した換気ユニットで熱交換させ、分岐チャンバーを通し各部屋に送り、屋内の汚れた空気を屋外に排出するシステムです。一般的に屋内外で温度差があるため、結露防止目的で断熱ダクトを使用しますが、換気ユニット以降の中間ダクトは結露の恐れがないため非断熱のダクトホースを使用します。そこで本稿では、第一種換気システム用の非断熱ダクトをご紹介します。

非断熱ダクトは金属製と樹脂製を使い分ける

非断熱ダクトには金属製と樹脂製の2種類あり、それぞれに特徴があります。用途は同じですが、まるっきり異なる特徴を持っていますので、それぞれの特徴を理解し、現場に合ったダクトを選定してください。

第一種換気の空気の流れ

まずは、冒頭に記述した空気の流れを図で詳しく解説します。

新鮮な屋外の空気はアウトドアエアー(OA)と呼び、換気ユニットで熱交換されます。熱交換された空気（青色のダクト）はサプライエアー(SA)と呼び、各部屋に供給します。屋内の汚れた空気（赤色のダクト）はリターンエアー(RA)と呼び、屋内の汚れた空気を換気ユニットに戻します。換気ユニットで熱交換された空気は、エキゾーストエアー（EA）と呼び屋外に排出します。図１の白四角の換気ユニットから出ている青いダクトと白三角の分岐チャンバーから先の青いダクトに非断熱ダクトを使用します。

材質別！非断熱ダクトの特徴＆オススメご紹介

金属製非断熱ダクトは高耐久＆不燃認定品が揃う

金属製の非断熱ダクトの特徴は、鉄やステンレス、アルミニウムなどの金属を原料とするため、工場や厨房といった高温・高熱環境下でも安定した性能を発揮できる点です。また、国土交通省大臣の不燃材料認定を受けているものも多くあり、そうした点でも安心感のある製品といえます。
中でも曲げ伸ばしが自在な金属フレキシブルダクトは、施工性においても優れており特にオススメです。

金属製非断熱ダクトのオススメ｜「ワイヤアルミダクト 悟空」

オリエント商事の「ワイヤアルミダクト 悟空 」は、 アルミ箔３層・ポリエステルフィルム２層の特殊ラミネート構造により、優れた耐久性と気密性を有したフレキシブルなワイヤアルミダクト です。高炭素鋼線が狭いピッチでらせん状に入っていますので形くずれを防ぎます。国土交通大臣「不燃材料」認定を受けていますので、不燃材料を使用する事が義務付けられている3階以上の建物にも安心してお使いいただけます。また、10mのダクトが70㎝以下まで圧縮梱包されていますので輸送も保管が楽なのも嬉しいポイントです。
一方、内面はアルミ箔のジャバラ構造上、曲げ半径は小さくなりますが、抵抗は樹脂ホースに比較し大きくなります。又、カットにはニッパとカッターが必要です。

 

品番	呼び(φ)	使用温度範囲	最小曲げ半径（mm)	全長(m)
WAD-50	50	250℃	25	10
WAD-75	75		37.5
WAD-100	100		50
WAD-150	150		75

樹脂製非断熱ダクトは軽量かつ柔軟性、空気搬送能力が高い

一方の樹脂製非断熱ダクトは、なんといっても軽量かつ柔軟な本体による取り回しのしやすさが強みです。天井裏のような狭小スペースでは、とくに価値を感じていただけます。
また性能面においても、湿気に強く、耐薬品性にも優れているほか、内部が平滑で抵抗が少なく空気を効率よく運べるというメリットを有しています。

樹脂製非断熱ダクトのオススメ｜「コンパクトールK」

クラレプラスチックス社の「コンパクトールK」は、ポリエチレン製でフレキシブル性に富み、内面が平滑なため圧損が低く空気の輸送効率にも優れていますので、金属製と比較し回路数を増やしたり、長い距離を引き回せます。また樹脂製の芯は、ハサミやカッターで簡単にカットでき、型崩れもしません。
一方、型崩れしない程の強度がある為、曲げ半径は大きくなります。また、ワイヤアルミダクトのように伸縮しないぶん梱包が大きくなり、保管スペースや輸送コストといった面は先述の「ワイヤアルミダクト 悟空 」と比較して高くなってしまうことにご留意ください。

品番	呼び径（φ）	使用温度範囲	最小曲げ半径（mm)	全長(m)
KM-050K1	50	50℃	15	10
KM-050K				20
KM-100K1	100		300	10
KM-100K				20

まとめ

第一種換気システムで結露の影響を受けない換気ユニットや分岐チャンバーから先のサプライエアー(SA)用に使用する「非断熱ダクト」の特徴を、材質別にご紹介しました。金属製の断熱ダクトは、運搬性に優れたコンパクトな梱包＋安心の不燃材料認定品の「ワイヤアルミダクト 悟空 」がオススメです。
一方の樹脂製の断熱ダクトは軽量で取り回ししやすいことはもちろん、内面が平滑で空気輸送効率に優れる「コンパクトールK」をオススメいたします。それぞれの特徴を踏まえて、現場に合ったダクトを選定してください。